平成22年版 消防白書

9 製品火災対策の推進

最近の火災の出火原因は極めて多様化しており、その中で電気用品、燃焼機器及び自動車等の国民の日常生活において身近な製品が発火源となる火災が発生している。消費者の安心・安全が強く求められており、消防庁では製品火災対策の取組を強化している。
平成21年中(平成21年1月~12月)に発生した電気用品、燃焼機器及び自動車等を発火源とする火災のうち、「製品の不具合により発生したと判断される火災」及び「原因を特定できない火災」であるとして、消防機関より報告があったものの製品情報を集計したところ、「製品の不具合により発生したと判断される火災」が136件、「原因を特定できない火災」が691件であった(第1―1―38表)。

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これら火災については、発火源となった製品の種類ごとに火災件数を集計し、製造事業者名と製品名などを公表した。また、全国の消防機関にも調査結果を通知するとともに、収集した情報を消費者庁、経済産業省及び国土交通省と共有し、製品火災対策に活用している。消防庁の製品火災調査は、火災を網羅的に把握する消防機関の特性を活かし、国内で発生したすべての火災に対する調査であり、関係省庁との連携により製品火災情報の収集に万全を期することとしている。最近では、一部自動車用電装品において類似火災が頻発していることを把握し、国土交通省を通じて製造事業者に対して再発防止策を求めている。
消防庁消防研究センターにおいては、消防機関が行う火災原因調査について専門的な技術支援を行っており、製品火災の調査に対しても鑑識用の資機材等を整備するなど、消防庁としての原因調査体制の充実・強化に努めている。
また、従来の製品火災情報の収集体制を見直し、四半期ごとに製品火災情報の公表を行うこととするなど、製品火災対策に係る取組の迅速化及び効率化を図ることとしている。
今後とも、消防庁では、製品火災に係る情報収集・活用を積極的に推進し、関係機関との連携を図りつつ、消費者の安心・安全を確保し、製品に起因する火災事故の防止を推進することとしている。

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