平成22年版 消防白書

4 出火原因

平成21年中の総出火件数5万1,139件のうち、失火による火災は3万2,946件(全体の64.4%)であり、火災の多くは火気の取扱いの不注意や不始末から発生している(第1―1―20図)。

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また、出火原因別にみると、放火が6,615件で最も多く、次いでこんろが5,139件、たばこが4,997件の順となっている(第1―1―21図)。

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(1)「放火」による火災が13年連続して第1位

放火による出火件数は、平成15年以降おおむね減少傾向が続いていたが、平成21年中の放火による出火件数は6,615件で、前年(6,396件)に比べ219件(3.4%)増加し、全火災(5万1,139件)の12.9%を占め、13年連続して出火原因の第1位となっている。これに放火の疑いを加えると1万1,205件(全火災の21.9%、対前年度比4.0%増)となる(第1―1―11表、第1―1―21図、第1―1―22図)。

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放火による損害額は64億6,878万円で、これに放火の疑いを加えた損害額は120億5,245万円となる(第1―1―11表)。
次に、放火及び放火の疑いによる火災を発火源別にみると、ライターによるものが3,870件(全体の34.5%)と最も多くなっている(第1―1―11表)。
また、放火及び放火の疑いによる火災1件あたりの損害額を時間帯別にみると、午前2時~午前4時の時間帯で特に多くなっている(第1―1―23図、附属資料18)。

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(2)「こんろ」による火災の66.5%は消し忘れによるもの

平成21年中のこんろによる火災は5,139件で、全火災(5万1,139件)の10.0%を占めている。こんろの種類別では、ガスこんろによる火災が最も多く4,693件(91.3%)で、こんろによる火災の大半を占めている。こんろによる火災の主な経過別出火件数をみると、66.5%に当たる3,419件が消し忘れによるものである(第1―1―12表、第1―1―21図)。

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(3)「たばこ」による火災の57.1%は、不適当な場所への放置によるもの

平成21年中のたばこによる火災は4,997件で、全火災(5万1,139件)の9.8%を占めている(第1―1―13表、第1―1―21図)。

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たばこによる火災の主な経過別出火状況をみると、不適当な場所への放置によるものが2,853件(57.1%)であり、半数以上を占めている。たばこが原因の火災による損害額は、72億9,118万円となっている(第1―1―13表、第1―1―19図)。

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(4)着火物は前年と同様「枯草」が第1位

平成21年中の全火災の着火物別出火件数は枯草が7,030件と全体の13.7%を占め、最も多くなっている(第1―1―14表)。

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