平成22年版 消防白書

1 火災

危険物施設における平成21年の火災事故の発生件数は前年より減少したものの、近年、総事故件数の最も少なかった平成6年(1994年)を中心とした5年間(平成4年(1992年)から平成8年(1996年))の平均331件の約1.6倍の件数である。火災の主な要因として、危険物施設における維持管理不十分、操作確認不十分等の人的要因を挙げることができる。

(1)危険物施設における火災事故発生件数と被害

平成21年中の危険物施設における火災事故の発生件数は162件(対前年比14件減)、損害額は10.0億円(対前年比46.6億円減)、死者は2人(対前年比1人増)、負傷者は62人(対前年比4人増)となっている(第1―2―2図)。

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また、危険物施設別の火災発生状況をみると、一般取扱所、給油取扱所及び製造所での火災が全体の94.4%を占めている(第1―2―3図)。

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火災事故162件のうち94件(全体の58.0%)は、危険物が出火原因物質となっている(第1―2―4図)。

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(2)火災の発生原因の6割以上は人的要因

平成21年中に発生した危険物施設における火災事故の発生原因については、人的要因が63.4%、物的要因が22.8%、その他の要因が4.9%となっている(第1―2―5図)。

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また、着火原因をみると、静電気火花が最も多く、次いで過熱着火(危険物に必要以上の熱を加えることにより、着火すること)、高温表面熱(高温の機器等の表面に危険物が接触すること)、溶接・溶断等火花の順となっている(第1―2―6図)。

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(3)無許可施設における火災事故

危険物施設として許可を受けていない無許可施設での平成21年中の火災事故の発生件数は7件(対前年比4件増)であり、死者はなく、負傷者は4人となっている。

(4)危険物運搬中の火災事故

平成21年中の危険物運搬中の火災事故の発生件数は3件で、死者はなく、負傷者は1人となっている。

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