2 流出
危険物施設における平成21年の危険物の流出事故の発生件数は前年より減少したが、近年、総事故件数の最も少なかった平成6年(1994年)を中心とした5年間(平成4年(1992年)から平成8年(1996年))の平均205件の約1.8倍の件数で依然として高い水準にある。流出の主な要因として、危険物施設の腐食等劣化、操作確認不十分、監視不十分等を挙げることができる。
(1)危険物施設における流出件数と被害
平成21年中の危険物施設における危険物流出事故発生件数(火災事故に至らなかったもの)は360件(対前年比24件減)、損害額は4.6億円(対前年比1.6億円減)、死者はなく(対前年比1人減)、負傷者は14人(対前年比2人減)となっている(第1―2―7図)。
また、危険物施設別の流出事故発生状況をみると、一般取扱所、移動タンク貯蔵所及び給油取扱所での流出が全体の61.4%を占めている(第1―2―8図)。
危険物施設における流出事故のうち、99.2%が石油製品を中心とする第4類の危険物の流出となっている。これを品名別にみると、第2石油類(軽油等)、第3石油類(重油等)、第1石油類(ガソリン等)、第4石油類(ギヤー油等)の順となっている(第1―2―9図)。
(2)流出事故の約3割は腐食等劣化が原因
平成21年中に発生した危険物施設における流出事故の発生原因をみると、人的要因が46.4%、物的要因が44.2%、その他の要因が5.0%となっている(第1―2―10図)。
流出事故の発生原因を個別にみると、腐食等劣化によるものが30.3%と最も多く、次いで操作確認不十分によるものが15.6%、監視不十分によるものが13.3%となっている(第1―2―10図)。
(3)無許可施設における流出事故
危険物施設として許可を受けていない無許可施設での平成21年中の流出事故の発生件数は4件(対前年比1件増)、死者、負傷者は発生していない。
(4)危険物運搬中の流出事故
平成21年中の危険物運搬中の流出事故の発生件数は17件(前年同数)であり、死者はなく負傷者は7人となっている。