平成22年版 消防白書

3 派遣実績

国際消防救助隊は、「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」施行前の2回を含めこれまでに17回の海外派遣実績がある(第5―1表)。

5-01hyo.gif

平成16年12月に発生したスマトラ沖大地震・インド洋津波災害に際しては、タイ王国へ国際消防救助隊員46人を派遣し、検索救助活動やヘリコプターによる支援活動のほか、内務省職員に対する救助技術指導を実施するなど幅広い援助を実施した。

5-p250_1ph.jpg

平成17年10月に発生したパキスタン・イスラム共和国地震災害においては、国際消防救助隊員13人を派遣し、救助活動を実施した。

5-p250_3ph.jpg

平成20年5月に発生した中国四川省における大地震災害においては、国際消防救助隊員17人を派遣し、都市型災害救助技術を発揮して、学校、寄宿舎等の建物倒壊現場で救助活動を行った。残念ながら生存者の救出には至らなかったものの、救助隊員の勤勉かつ真摯な救助の姿勢には、同年来日した胡錦濤中国国家主席からも直接謝意を表されるなど中国側からも大きな賞賛が寄せられた。

5-p250_2ph.jpg

また、平成21年9月に発生したインドネシア西スマトラ州パダン沖地震災害においては、国際消防救助隊員17名を他の救援国に先駆けていち早く被災地に派遣し、最大の被災地となったパダン市街のホテル・市場等の建物施設倒壊現場において捜索活動を行った。

5-p250_4ph.jpg

消防庁では、これまでの国際消防救助隊の活動を検証し、より効果的な国際緊急援助体制の構築に取り組んでいる。

国際緊急援助隊救助チーム最上級の格付けを認定

1 概 要

平成22年3月9日(火)から12日(金)まで、外務省及び兵庫県広域防災センターにおいて、国際消防救助隊を含む国際緊急援助隊救助チームがIEC(INSARAG External Classification:国際捜索救助諮問グループ外部評価分類)の「Heavy」格付けを受検しました。
IECとは、INSARAG(国連国際捜索救助諮問グループ)が設けている救助能力の分類基準で外国での災害救助に派遣される各国の救助チームをその能力に応じて、効率的かつ効果的な救助が可能な救援活動サイトに割り当てるための指針となるものです。具体的には各国救助チームの能力(携行資機材のレベル、隊員の活動能力等)に応じて軽(Light)・中(Medium)・重(Heavy)の3段階に格付けされ、各国の受検要請に基づき、INSARAGから派遣される評価員が、受検国内で実施される訓練を視察して評価するものです。
被災地ではこの「格付け」に基づき、各国からの救助チームをその機能に応じて適切な活動サイトに割り当て、効果的な救助活動を期すものです。

2 受検の内容について

IEC受検のうち、具体的な救助活動に関するものとして、3月10日朝6時から11日午後8時までの38時間に及ぶ派遣シミュレーションを通して評価が行われ、実際の派遣同様に仮想成田空港での結団式から被災国到着を経て、被災国からの撤収を含む様々な段階で評価が行われました。
評価項目は、管理・ロジスティックス・捜索・救助・医療の5部門の約150項目と多岐にわたり、被災国での移動手段の確保や救助資機材に使用する燃料の確保等、救助活動に入る前の調整能力等も評価に含まれました。隊員はINSARAGガイドライン(国際的捜索救助の標準手法)に沿った捜索・救助活動を行い、評価員から高い評価を受け、12日の結果発表では、見事に「Heavy」認定を受けることができました。

h2220115.jpg

※INSARAG:International Search and Rescue Advisory Group(国際捜索救助諮問グループ)の頭文字をとって、インサラグという。

関連リンク

はじめに
はじめに はじめに 我が国の消防は、昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする自治体消防制度が誕生して以来、関係者の努力の積み重ねにより制度、施策、施設等の充実強化が図られ、火災の予防、警防はもとより、救急、救助から地震、風水害等への対応まで広範囲にわたり、日々国民の安全の確保に努めて...
1 チリ中部沿岸を震源とする地震等の概要
トピックスI チリ中部沿岸を震源とする地震による津波の概要と消防庁の対応 1 チリ中部沿岸を震源とする地震等の概要 平成22年2月27日15時34分(チリ国現地時間同日3時34分)、チリ中部沿岸を震源とするマグニチュード8.8の地震が発生した。この地震により津波が発生し、日本を含む太平洋沿岸諸国の広...
2 我が国への津波の到達及び避難等の状況
2 我が国への津波の到達及び避難等の状況 (1)津波の状況 気象庁は、平成22年2月28日9時33分、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県に津波警報(大津波)、その他の太平洋沿岸全域などに津波警報(津波)、北海道日本海沿岸南部、オホーツク海沿岸等に津波注意報を発表した。特に津波警報(大津波)の発表は、平...
3 消防庁の対応
3 消防庁の対応 消防庁では、平成22年2月27日にチリ中部沿岸を震源とする地震の発生後、直ちに関係職員が参集し、情報収集体制の確保・強化を図るとともに、翌28日に津波警報(大津波)、津波警報(津波)及び津波注意報の発表後は、全職員が参集し、消防庁長官を本部長とする災害対策本部を設置した。同本部にお...