3 実施基準に基づく傷病者の搬送及び受入れの実施 ~PDCAサイクルの活用~
実施基準を有効なものとして継続するためには、実施基準に基づく傷病者の搬送及び受入れの実施状況を検証し、適切に実施基準を見直すことが重要であり、少なくとも1年ごとに消防機関及び医療機関の双方が有する情報をあわせて総合的に調査・分析を行い、必要がある時は実施基準の見直しを行うことが求められるため、協議会において実施基準に基づく傷病者の搬送及び受入れの実施状況を調査・分析し、その結果を実施基準の見直しに反映させることとされた。
また、都道府県が定めた実施基準は、公表することとされており、傷病者の状況に応じた適切な医療の提供が行われるよう分類された医療機関リストをはじめ、円滑な救急搬送がどのようなルールに基づき確保されていくのかを明らかにすることとされている。
こうした実施基準の公表は、傷病者の搬送及び受入れに携わる関係者にとって、共通認識を明確なものとするために重要である一方、住民にとっても、地域における搬送及び受入れがどのように運営されているのかについての情報が提供されるという意味がある。
実施基準を策定するだけで、直ちに円滑な救急搬送・受入の実現ができるとは限らない。実施基準が有効なものとして継続することが大事である。そのため、策定された後に実施基準のPDCAサイクルを通じて、消防機関・医療機関・住民が、それぞれの地域における医療提供体制の現状、受入医療機関の選定困難事案の発生状況、傷病者の搬送及び受入れの状況等の地域の実情に対する共通理解を深めつつ、地域における現状の医療資源を前提に、都道府県ごとに消防機関と医療機関の連携体制を強化し、受入医療機関の選定困難事案の発生をなくすとともに、医学的観点から質の高い、傷病者の状況に応じた適切な搬送及び受入体制を構築することが期待される。
