2 検討の経緯と検討内容
平成21年11月27日に行われた行政刷新会議による「国家備蓄石油管理等委託費」の事業仕分けにおいて、国家備蓄基地内にあるタンクに対する検査に必要な支出についても議論され、検査の周期については、安全性を十分に検証しながら規制緩和の可能性を探ることが求められた。このような状況を踏まえ、消防庁では、「屋外タンク貯蔵所の保安検査の周期に係る調査検討会」(以下「検討会」という。)を発足させた。検討会では、タンクの基礎や溶接部について詳細な技術基準が定められており、性能が一定の範囲にある昭和52年以降に設置されたタンクを対象に、次の3点について検討している。
(1)基本周期を延長した場合の安全性の評価
タンク底部からの流出事故の発生状況及び要因分析、保安検査時に得られたタンク腐食データに基づく腐食状況分析、腐食の進行による流出事故発生の危険性評価、耐震性や溶接部の健全性の低下に関する評価等の検討を行い、基本周期を延長した場合の安全性について評価している。
(2)検査周期のあり方
保安検査時の検査項目の一つであるタンク底部の板厚測定は、測定箇所を定め、当該測定箇所で一定以上の板厚が確保されていること(腐食の状況)を検査するものである。近年の技術開発により、板厚を連続的に効率よく測定する機器の活用が可能になってきている。この方法を用いてタンク底部の板厚を検査した結果、腐食の状況が良好であること、腐食の進行を促進する要因が排除されていること等の条件を満たすタンクであれば、安全性を損なうことなく保安検査の周期を延長することが可能か検討している。
(3)コーティングの耐用年数
タンク内面の腐食を防止するためにタンク内面に適切な施工方法に基づくコーティングを行うことがあり、この場合、保安検査の周期の延長が可能である。近年、コーティングに関する技術や品質が向上していることにかんがみ、実験、実地調査、点検記録等の整理・分析を行うことにより、コーティングの耐用年数についてあらためて検討を行っている。