平成23年版 消防白書

第5節 救助体制

1 救助活動の実施状況

(1) 救助活動件数及び救助人員の状況

消防機関の行う人命の救助とは、火災・交通事故・水難事故・自然災害や機械による事故等から、人力や機械力等を用いてその危険状態を排除し、被災者等を安全な場所に搬送する活動をいう。
平成22年中における全国の救助活動実施状況は、救助活動件数5万5,031件(対前年比1,917件増、3.6%増)、救助人員5万8,682人(同3,691人増、6.7%増)である*1(第2-5-1表、附属資料II-41)。

*1 東日本大震災の影響により、平成22年中の釜石大槌地区行政事務組合消防本部のデータは除いた数値により集計している。

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このうち、救助活動件数及び救助人員の増加の主な要因は、「建物等による事故」である。「建物等による事故」の救助活動件数は19,232件(前年17,212件、対前年比2,020件増)、同救助人員は18,220人(前年16,374人、対前年比1,846人増)である。なお、東日本大震災での救助者数は、平成23年6月30日19時現在で5,064人である(詳細は、第I部第3章第5節参照)。

(2) 事故種別救助活動の状況

平成22年中における救助出動人員(救助活動を行うために出動したすべての消防職団員をいう。)は、延べ130万302人である。このうち、消防職員の出動人員は延べ118万3,556人で、うち交通事故による出動が30.4%、火災による出動が15.5%である。一方、消防団員の出動人員は、延べ18万3,556人で、うち火災による出動が79.0%である。
次に、救助活動人員(救助出動人員のうち実際に救助活動を行った消防職団員をいう。)は、延べ55万8,409人であり、救助活動1件当たり10.1人が従事したこととなる。また、事故種別ごとの救助活動1件当たりの従事人員は火災の16.1人が最も多く、次いで水難事故の15.4人となっている(第2-5-2表)。

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