平成23年版 消防白書

4 消防関係法令に係る緊急措置

(1) 危険物施設における地下貯蔵タンクに対する規制の期限延長

東日本大震災では被災地における危険物施設も大きな被害を受けたことに鑑み、このような危険物施設について、平成22年に行った危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)の改正で設けた地下貯蔵タンク等に係る技術上の基準(改正内容については、第II部第1章第2節P.44参照。)の経過措置期間を、一定の安全性の確保を条件に3年間延長することを可能とするため、同規則の改正を行った。(平成23年9月15日施行)

(2) 石油コンビナート等特別防災区域の防災対策の徹底

東日本大震災により、石油コンビナート等災害防止法(昭和50年法律第84号。以下「石災法」という。)に基づく石油コンビナート等特別防災区域内の特定事業所においても、相当の被害が見られたので、「平成23年東北地方太平洋沖地震に係る石油コンビナート等特別防災区域の防災対策について」(平成23年3月28日付け消防特第35号)を関係道府県消防主管部長あてに発出し、地震により被害を受け、又は被害を受けたおそれのある石災法第15条に規定する特定防災施設等を設置する特定事業者において、石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令(昭和50年自治省令第17号)第15条第1項に規定する総合点検と同様の点検を実施するなど安全の確認を図るとともに、異常の認められた特定防災施設等に対して適切な保安対策を講じることを依頼した。

(3) 消防法令の運用について

東日本大震災に対応して、「平成23年東北地方太平洋沖地震に対応した消防法令の運用について(通知)」(平成23年3月28日消防予第92号)及び「平成23年東北地方太平洋沖地震に対応した消防法令の運用について(通知)」(平成23年3月28日消防危第52号)を各都道府県消防防災主管部長及び東京消防庁・各指定都市消防長あてに発出し、東日本大震災で被災し、又は被災したおそれのある防火対象物及び危険物施設について、防火対象物の使用に際しては、消防用設備等について事前に点検を実施すること等を当該防火対象物の関係者に指導することや、危険物施設について迅速な点検を行い安全を確認すること等を当該施設の所有者等に指導するよう要請するとともに、被災者となった消防設備士、危険物取扱者等の講習の受講期限の延長等が可能であることを周知した。

(4) 危険物の取扱い等に係る留意事項の周知

東日本大震災においては、危険物施設が被災したことや、被災地への交通手段が寸断されたこと等により、被災地においてガソリン、軽油及び灯油等の燃料が不足した。また、被災地では、避難所をはじめ、危険物施設以外の場所において危険物を取り扱う必要が生じた。
このような状況に鑑み、消防庁では、被災地でガソリン等を安全に取り扱うための留意事項を広く周知した。

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