1.火災
危険物施設における平成23年中の火災事故の発生件数は、平成元年以降火災事故が最も少なかった平成5年(1993年)の107件と比較すると、危険物施設数は減少しているにもかかわらず、約1.8倍に増加している。火災事故の主な発生要因については、維持管理不十分、操作確認不十分等の人的要因によるものが多くを占めているが、設計不良、腐食等劣化等の物的要因によるものも増加の傾向にある。
(1) 危険物施設における火災事故発生件数と被害
平成23年中の危険物施設における火災事故の発生件数は189件(対前年比10件増)、損害額は994百万円(対前年比438百万円増)、死者は1人(前年同数)、負傷者は51人(対前年比15人減)となっている(第1-3-2図)。

また、危険物施設別の火災事故発生状況をみると、一般取扱所、製造所及び給油取扱所での火災が全体の94.2%を占めている(第1-3-3図)。

火災事故189件のうち124件(全体の65.6%)は、危険物が出火原因物質となっている(第1-3-4図)。

(2) 危険物施設における火災事故の発生要因
平成23年中に発生した危険物施設における火災事故の発生要因については、人的要因が57.1%、物的要因が23.8%、その他の要因、不明及び調査中を合計したものが19.0%となっている(第1-3-5図)。

また、着火原因をみると、静電気火花が最も多く、次いで高温表面熱(高温の機器等の表面に危険物が接触すること)及び過熱着火(危険物に必要以上の熱を加えることにより、着火すること)となっている(第1-3-6図)。

(3) 無許可施設における火災事故
危険物施設として許可を受けるべき施設であるにもかかわらず、許可を受けていないもの(以下「無許可施設」という。)における平成23年中の火災事故の発生件数は9件(対前年比4件増)であり、死者はなく(前年同数)、負傷者は12人(対前年比8人増)となっている。
(4) 危険物運搬中の火災事故
平成23年中の危険物運搬中の火災事故の発生件数は2件(対前年比3件減)で、死者はなく(前年同数)、負傷者は1人(対前年比1人減)となっている。
(5) 仮貯蔵・仮取扱い中の火災事故
仮貯蔵・仮取扱い中の火災事故は、近年発生していなかったが、平成23年中に火災事故が1件発生しており、死者はなく、負傷者は3人となっている。