平成24年版 消防白書

[原子力災害対策等の課題]

1.福島原発事故を踏まえた今後の取組

(1) 避難指示区域の管轄消防本部の支援

避難指示区域の管轄消防本部においては、放射性物質による汚染、消防施設や水利の被災等の厳しい条件の下、消防活動を継続して行っているところであり、各市町村の復旧・復興等と合わせて体制の充実・強化を図る必要がある。消防庁としても、関係省庁等と連携し、管轄消防本部への支援を引き続き行っていくことが必要である。

(2) 福島第一原発において活動した消防職員の長期的な健康管理

福島第一原発において、緊急消防援助隊として放水活動を実施した消防職員の安心や長期的な影響の確認に資するため、これらの消防職員について長期的な健康管理を行っていく必要がある(詳細は、第1部第5章を参照)。

(3) 消防活動対策マニュアルの見直し等

政府全体における原子力防災体系の見直しへの適切な対応や、原子力施設等における事故等が発生した場合に消防職員が安全管理を行った上で的確な消火、救助、救急等の消防活動が実施できるよう、各種マニュアル等の見直しを行い、関係省庁等と連携して対策の充実強化を図っていく必要がある(詳細は、第1部第5章を参照)。

(4) 関係地方公共団体における地域防災計画の見直し等

関係地方公共団体における地域防災計画の見直しを推進するとともに、訓練等を通じて原子力防災体制の継続的な改善を行っていく必要がある(詳細は、第1部第5章を参照)。

関連リンク

はじめに
はじめに 昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする自治体消防制度が誕生して、まもなく65年を迎えようとしています。この間、我が国の消防は、関係者の努力の積み重ねにより着実に発展し、国民の安心・安全確保に大きな役割を果たしてきました。 しかしながら、平成23年3月に発生した東日本大...
第I部 東日本大震災を踏まえた課題への対応
第I部 東日本大震災を踏まえた課題への対応 平成23年3月11日に発生した東日本大震災による被害は、死者・行方不明者約2万人の人的被害、全壊約13万棟、半壊約25万棟の住家被害など、まさに戦後最大の規模となった。 この大災害を受け、消防庁長官の諮問機関である第26次の消防審議会に対し、「広範な地域に...
第1章 地震・津波対策の推進と地域防災力の強化
第1章 地震・津波対策の推進と地域防災力の強化 地震・津波対策については、東日本大震災を踏まえ、平成23年4月に中央防災会議に設置された「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」の報告(平成23年9月28日)にあるように、発生頻度の高い津波のみならず、発生頻度は極めて低いも...
1.防災基本計画の修正と災害対策基本法の改正等
1.防災基本計画の修正と災害対策基本法の改正等 (1) 防災基本計画の修正と地域防災計画の見直し 前述の中央防災会議専門調査会報告を基に、平成23年12月に開催された中央防災会議において、地方公共団体において作成する地域防災計画等の基本となる「防災基本計画」が修正された。従来、津波対策は震災対策の特...