第4章 民間事業者における地震・津波対策
大規模・高層の建築物については、テナント毎に防火管理者及び防災管理者を選任し防火・防災管理を行わせることが義務付けられているが、東日本大震災では高層建築物を中心に激しい揺れに伴う被害が発生していること等を踏まえ、それら建築物における防火・防災管理体制の強化等について検討を進めた。その検討を踏まえ、「消防法の一部を改正する法律」(平成24年6月27日法律第38号)が成立し、統括防火管理制度及び統括防災管理制度が整備された。
また、東日本大震災では、危険物施設や石油コンビナート施設においても地震の揺れや津波による被害が発生しており、東日本大震災で特に被害を受けたと考えられる16都道県*に所在する全危険物施設の1.6%が被災している。被害施設数は少ないものの、地震の揺れにより危険物施設の建築物や配管等が破損する被害や津波により施設全体が損壊する等の被害が発生していることから、危険物施設や石油コンビナート施設の安全確保のための対策を講じていく必要がある。
* 消防庁が平成23年5月から8月の間に、東日本大震災で特に被害を受けたと考えられる16都道県(北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県)を対象に行った調査結果に基づいている。調査を行った地域のうち、福島第一原子力発電所の周辺地域については調査が困難であるため、被害状況は不明である。また、山梨県における危険物施設の被害はなかった。