平成24年版 消防白書

2.危険物施設における地震・津波対策等

東日本大震災では、被災地における危険物施設(P.91※2参照)や石油コンビナート施設においても地震や津波により大きな被害を受けた。
このことにかんがみ、消防庁では平成23年5月から「東日本大震災を踏まえた危険物施設等の地震・津波対策のあり方に係る検討会」を開催し、これらの施設の被害状況の実態調査を通じ、危険物施設及び石油コンビナート施設における地震・津波対策について検討を行った。
まず、危険物施設については、平成23年12月に屋外タンク貯蔵所における危険物の漏えいを最小限に防止するための措置や、危険物施設における津波発生時に係る対応の予防規程への明記等が必要であるとの意見が取りまとめられた。
このことを受け、平成24年5月に危険物の規制に関する規則を改正し、予防規程への記載事項に津波対策を追加するとともに、危険物施設における地震・津波対策に係る留意事項について全国の消防機関等に通知した。なお、屋外タンク貯蔵所における危険物の漏えい防止措置等の津波対策については、当該タンクの規模や津波浸水想定等に基づいた津波被害シミュレーションを踏まえて具体的な措置を講じる必要があることから、消防庁において当該シミュレーションツールを作成し、消防庁ホームページにおいて提供している。
また、上記検討会において、石油コンビナート施設(石油コンビナート等特別防災区域内の特定事業所に設けられている特定防災施設等や防災資機材等)については、地震及び津波の発生頻度や被害の大きさに応じた対策の考え方、施設や資機材等ごとの対応策等が平成23年12月に取りまとめられた。
このことを受け、消防庁では、特定防災施設等及び防災資機材等に係る地震対策及び津波対策の推進について、平成24年3月に石油コンビナートが所在する道府県に通知した。

p31_01.jpg

関連リンク

はじめに
はじめに 昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする自治体消防制度が誕生して、まもなく65年を迎えようとしています。この間、我が国の消防は、関係者の努力の積み重ねにより着実に発展し、国民の安心・安全確保に大きな役割を果たしてきました。 しかしながら、平成23年3月に発生した東日本大...
第I部 東日本大震災を踏まえた課題への対応
第I部 東日本大震災を踏まえた課題への対応 平成23年3月11日に発生した東日本大震災による被害は、死者・行方不明者約2万人の人的被害、全壊約13万棟、半壊約25万棟の住家被害など、まさに戦後最大の規模となった。 この大災害を受け、消防庁長官の諮問機関である第26次の消防審議会に対し、「広範な地域に...
第1章 地震・津波対策の推進と地域防災力の強化
第1章 地震・津波対策の推進と地域防災力の強化 地震・津波対策については、東日本大震災を踏まえ、平成23年4月に中央防災会議に設置された「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」の報告(平成23年9月28日)にあるように、発生頻度の高い津波のみならず、発生頻度は極めて低いも...
1.防災基本計画の修正と災害対策基本法の改正等
1.防災基本計画の修正と災害対策基本法の改正等 (1) 防災基本計画の修正と地域防災計画の見直し 前述の中央防災会議専門調査会報告を基に、平成23年12月に開催された中央防災会議において、地方公共団体において作成する地域防災計画等の基本となる「防災基本計画」が修正された。従来、津波対策は震災対策の特...