1.長期に及ぶ消防応援活動への対応
今回の応援活動が88日間というこれまでにない長期に及んだことに加え、低温・降雪といった気象状況や燃料不足、ライフライン途絶等の厳しい環境の下で展開されたことから、あらためて応援活動を支える体制の構築の重要性が認識された。これを踏まえ、消防庁では次のような取組を進めている。

(1) 長期に及ぶ活動を支援する車両等の整備
消防組織法第50条の規定による無償使用制度*2を活用し、緊急消防援助隊の長期に及ぶ活動を支援するため、人員輸送車*3、資機材搬送車*4、燃料補給車*5、支援車I型*6等の車両等の整備を行っている。
*2 緊急消防援助隊の活動上必要な車両・資機材等のうち、地方公共団体が整備・保有することが費用対効果の面から非効率的なものについて、大規模・特殊災害時における国の責任を果たすため、国が整備し緊急消防援助隊として活動する要員の属する都道府県又は市町村に対して無償で使用させるもの
*3 隊員の交代時等に輸送を行うほか、後方に資機材を搬送するスペースを有する。
*4 重量物をも容易に積み下ろしすることができるようにパワーゲートを装備し、資機材や後方支援物資の搬送を実施
*5 被災地において活動する消防車両(軽油燃料車)を対象に燃料を補給
*6 ボディが拡幅する機能を有し、トイレ、シャワー、固定式小型厨房等を装備するとともに、各種災害に対応した資機材収納室を有し、最大約20名の乗車が可能




(2) より効果的な後方支援部隊の運用のあり方
新たに整備された車両や資機材の活用を含めたより効果的な後方支援部隊の運用のあり方などの検証を進める。
また、後方支援部隊の編成や、応援を受ける場合の受援力の強化に向けて、各都道府県毎に策定している緊急消防援助隊の応援等実施計画及び受援計画の見直しの取組を支援していく。
(3) 広域活動拠点の整備に関する検討
東日本大震災での活動経験を踏まえ、緊急消防援助隊の長期にわたる活動を支える広域活動拠点の整備について調査検討を進めており、平成23年度は、「緊急消防援助隊広域総合進出拠点施設に係る検討会」において、広域活動拠点に求められる機能及び標準的な施設・設備を整理するとともに、その整備イメージ、整備のあり方等の検討を行った。
また、平成24年8月から「緊急消防援助隊広域活動拠点に関する検討会」を開催し、航空機による人員・資機材の投入をも想定しつつ、既存の資源の活用を含め、緊急消防援助隊の活動を支援するのに必要とされる諸機能の具体的な実現手法等を調査検討しており、被災時における都道府県及び市町村の応援部隊の受援機能を含む地域防災力の更なる向上を目指している。