平成26年版 消防白書

2.法律制定を受けた消防庁における取組状況

(1) 消防団充実強化対策本部の設置

消防団等充実強化法を受け、消防庁では平成25年12月24日に、「消防団充実強化対策本部」を設置し、消防団への加入促進、消防団員の処遇改善、消防団の装備・教育訓練の充実等について、地方公共団体への支援・働きかけを行っている。

(2) 消防団への加入促進

ア 総務大臣書簡の発出

平成25年11月8日及び平成26年4月25日の2度にわたり、総務大臣から都道府県知事及び市区町村長あてに、消防団入団促進に関する書簡を送付し、地方公務員等をはじめとした消防団員確保に向けた一層の取組のほか、消防団員の処遇改善などについて依頼を行った(特集2-5図)。

t2-5zu.gif

イ 事業者の協力

被雇用者団員の増加に伴い、消防団員を雇用する事業所の消防団活動への理解と協力を得ることが不可欠であるため、平成18年度より導入を促進している「消防団協力事業所表示制度」の普及及び自治体による事業所への支援策の導入促進を図っている(特集2-6図)。

t2-6zu.jpg

特別の休暇制度を設けて勤務時間中の消防団活動に便宜を図ったり、従業員の入団を積極的に推進する等の協力は、地域の防災体制の充実に資すると同時に、事業所が地域社会の構成員として防災に貢献する取組であり、当該事業所の信頼の向上につながるものである。
また、平成25年12月13日、日本郵便株式会社に対し、消防団活動への参加促進を依頼するとともに、平成26年1月24日、各地方公共団体に対し、郵便局への働きかけを依頼した。

ウ 大学等の協力

平成25年12月19日、文部科学省と連携し、大学等に対し、大学生の加入促進、大学による適切な修学上の配慮等について働きかけを依頼した。

エ 消防団員となる公務員の兼職の認め・職務専念義務の免除

消防団等充実強化法第10条において、公務員の消防団員との兼職に関する特例規定が設けられ、公務員から消防団員と兼職することを認めるよう求められた場合、任命権者は職務の遂行に著しい支障があるときを除き、これを認めなければならないとされ、また、職務専念義務の免除について、国及び地方公共団体は、消防団の活動の充実強化を図る観点から、柔軟かつ弾力的な取扱いがなされるよう、必要な措置を講ずるものとされた。
国家公務員については、消防団等充実強化法第10条第1項の規定による国家公務員の消防団員との兼職等に係る職務専念義務の免除に関する政令(平成26年政令第206号)等が制定されたところであり、消防庁は各府省庁に対し、特例規定の適切な運用及び国家公務員の消防団への加入促進について働きかけている。
また、地方公共団体に対し、地方公務員についても、国家公務員制度における取扱いを踏まえた適切な対応を求めるとともに、消防団への加入促進について働きかけている。

オ 総務大臣からの感謝状の授与

平成26年6月24日、平成26年4月1日現在の消防団員数の速報値を取りまとめ、消防団員数が相当数増加した団体等19の消防団に対して総務大臣から感謝状を授与した。

(3) 消防団員の処遇の改善

ア 退職報償金の引上げ

平成26年4月1日、消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成26年政令第56号)の施行に伴い、消防団員に支給される退職報償金を全階級一律5万円(最低支給額20万円)の引上げた。

イ 報酬及び出動手当の引上げ

消防団員の年額報酬及び出動手当について、活動に応じた適切な支給を地方公共団体に働きかけるとともに、特に支給額の低い市町村に対し引上げを要請した。
その結果、平成25年4月1日現在で27団体あった無報酬団体については、平成27年度に解消される見込みとなった。

(4) 装備の充実強化

ア 装備の基準の改正

平成26年2月7日、東日本大震災等の教訓を踏まえ、「消防団の装備の基準」を改正し、トランシーバー等の双方向通信機器やライフジャケット等の安全装備品等を盛り込むとともに、地方交付税措置の大幅な拡充を行った(特集2-7図)。

t2-7zu.gif

イ 救助資機材搭載消防ポンプ自動車等の整備

平成25年度補正予算及び平成26年度当初予算により、消防団及び消防学校に対し、救助資機材を搭載した消防ポンプ車両等を整備し、訓練を実施することとしている。

(5) 教育・訓練の充実・標準化

平成26年3月28日、消防団において分団長等の現場の指揮を行う者に対し、火災時の延焼拡大防止措置や倒壊家屋からの救助、避難誘導、地域防災指導等の災害の種別ごとに、安全管理を含めた実践的な知識及び技術を習得するため、「消防学校の教育訓練の基準」を改正し、消防団員に対する幹部教育のうち、中級幹部科を指揮幹部科として拡充強化した(特集2-8図)。

t2-8zu.gif

また、消防学校に対し、救助資機材を搭載した消防ポンプ車両等を計画的に整備することにより、消防団員の教育・訓練を支援することとしている。

関連リンク

平成26年版 消防白書(PDF版)
平成26年版 消防白書(PDF版) 平成26年版 消防白書  はじめに 今後発生が予測される大規模災害への対応と消防防災体制の強化 ~東日本大震災の教訓を生かす~  特集1 緊急消防援助隊の機能強化  特集2 消防団等地域防災力の充実強化  特集3 最近の大規...
はじめに 今後発生が予測される大規模災害への対応と消防防災体制の強化 ~東日本大震災の教訓を生かす~
はじめに 今後発生が予測される大規模災害への対応と消防防災体制の強化 ~東日本大震災の教訓を生かす~ 平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、死者・行方不明者が約2万名、住家における全壊が約13万棟、半壊が約27万棟に被害が及び、それは戦後最大の自然災害の脅威とも呼べるものであった(1表)。...
特集1 緊急消防援助隊の機能強化
特集1 緊急消防援助隊の機能強化 東日本大震災では、発災日から88日間にわたり、延べ約3万1,000隊、約11万人の緊急消防援助隊が消防・救助活動に尽力し、5,064人の人命を救助した。 南海トラフでは、過去100年から150年程度の周期でマグニチュード8クラスの海溝型地震が発生しており、東海、東南...
1.南海トラフ地震、首都直下地震等に備えた大幅増隊
1.南海トラフ地震、首都直下地震等に備えた大幅増隊 東日本大震災を上回る被害が想定される南海トラフ地震等に備え、大規模かつ迅速な部隊投入のための体制整備が不可欠であることから、平成30年度末までの目標登録隊数をおおむね4,500隊規模からおおむね6,000隊規模に増強することとしている(特集1-1表...