平成26年版 消防白書

4.その他引き続き実施すべき施策

(1) 女性の入団推奨

地域の安心・安全の確保に対する住民の関心の高まりなどの要因により、消防団活動も多様化し、住宅用火災警報器の設置促進、一人暮らしの高齢者宅の防火訪問、住民に対する防災教育及び応急手当の普及指導等においては、特に女性消防団員の活躍が期待されている。年々増加している女性消防団員を更に増加させるため、女性消防団員10万人の確保を目指して女性の入団を推奨している。
いまだ女性消防団員のいない市町村に対しては、入団に向けた積極的な取組を求めている。

(2) 全国女性消防団員活性化大会の開催

平成26年11月14日、日頃の活動やその成果をアピールするとともに、意見交換や交流を通じて連携を深めるため、千葉県浦安市において、全国女性消防団員活性化大会を開催した。

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(3) 全国消防団員意見発表会・消防団等地域活動表彰の実施

地域における活動を推進するとともに、若手・中堅消防団員や女性消防団員の士気の高揚を図るため、全国各地で活躍する若手・中堅消防団員や女性消防団員による意見発表会を開催し、あわせて、

  • 地域に密着した模範となる活動を行っている消防団
  • 消防団員の確保について特に力を入れている消防団
  • 大規模災害時等において顕著な活動を行った消防団

に対する表彰などを実施し、その内容を取りまとめ、全国に提供している。

(4) 消防団員入団促進キャンペーンの全国展開

消防団員の退団が毎年3月末から4月にかけて多い状況を踏まえ、退団に伴う消防団員の確保の必要性があることから、1月から3月を「消防団員入団促進キャンペーン」の期間として位置付け、消防団員募集ポスターやリーフレットの作成・配布を行い、消防団員募集についての積極的な広報の全国的な展開を図っている(特集2-11図、特集2-12図)。

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(5) 消防団活動のPR

ア 「消防団のホームページ」の運用

消防庁における最新施策や最新情報等を掲載し、消防団活動のPRに努めている。 (URL:http://www.fdma.go.jp/syobodan/

イ 雑誌等を活用した広報

特に女性や若者をターゲットとした「雑誌広告」等を活用し、消防団への理解促進及び入団促進の広報に努めている。

(6) 機能別団員及び機能別分団など消防団組織・制度の多様化方策の導入

すべての災害・訓練に出動する消防団員(以下「基本団員」という。)を基本とした現在の制度を維持した上で、必要な消防団員の確保に苦慮している各市町村が実態に応じて選択できる制度として、次の多様化方策を導入した(特集2-13図)。

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ア 機能別団員(特定の活動、役割のみに参加する団員)制度

入団時に決めた特定の活動・役割及び大規模災害対応等に参加する制度である。

イ 機能別分団(特定の活動、役割を実施する分団)制度

特定の役割、活動を実施する分団・部を設置し、所属団員は当該活動及び大規模災害対応等を実施する制度である。

ウ 休団制度

消防団員が出張、育児等で長期間にわたり、活動することができない場合、消防団員の身分を保持したまま一定期間の活動休止を消防団長が承認する制度である。休団中の大規模災害対応、休団期間の上限は各消防団で規定し、休団中は報酬の不支給、退職報償金の在職年数不算入が可能である。

エ 多彩な人材を採用・活用できる制度

条例上の採用要件として年齢・居住地等を制限している場合は、条例の見直しにより幅広い層の人材が入団できる環境の整備を図ったり、年間を通じての募集・採用の実施が必要である。

(7) 消防団員確保の支援体制の構築

消防団員の減少に歯止めを掛けるために、消防団員確保に必要な知識又は経験を有する消防職団員等を地方公共団体に派遣し、消防団員の確保の具体的な助言、情報提供等を行う「消防団員確保アドバイザー派遣制度」を平成19年4月から運用しており、平成26年11月現在、29人のアドバイザー(うち女性11人)が全国で活躍している。

(8) 全国消防操法大会の開催

平成26年11月8日、消防団員等の消防技術の向上と士気の高揚を図るため、東京臨海広域防災公園において、第24回全国消防操法大会を開催した。

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