平成27年版 消防白書

5.火災種別ごとの状況

(1) 建物火災

平成26年中の建物火災の出火件数は2万3,641件で、このうち、放火を除く件数は、2万1,620件となっている(第1-1-1表、第1-1-11表)。

ア 建物火災は1日に65件、22分に1件の割合

平成26年中の建物火災の1日当たりの出火件数は65件で、22分に1件の割合で出火していることになる(第1-1-2表)。
また、月別の出火件数をみると、1月から4月まで及び12月に多くなっている(第1-1-24図)。

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イ 住宅における火災が建物火災の54.7%で最多

平成26年中の建物火災の出火件数を火元建物の用途別にみると、住宅火災が最も多く、全体の54.7%を占めている(第1-1-25図、附属資料23)。

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また、建物火災のうち、放火を除く住宅火災の件数は、1万1,855件となっている(第1-1-12図)。

ウ 建物火災の41.3%が木造建物で最多

平成26年中の建物火災を火元建物の構造別にみると、木造建物が最も多く、建物火災の41.3%を占めている。
また、火元建物以外の別棟に延焼した火災件数の割合(延焼率)を火元建物の構造別(その他・不明を除く。)にみると、木造が最も高く、31.7%になっている。また、火元建物の構造別に火災1件当たりの焼損床面積をみると、木造は71.3m2であり、全建物火災の平均46.8m2の約1.5倍となっている(第1-1-15表)。

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エ 建物火災の過半数は小火災

平成26年中の建物火災の出火件数を損害額及び焼損床面積の段階別にみると、損害額では1件の火災につき10万円未満の出火件数が1万2,997件と全体の55.0%を占めている。また、焼損床面積50m2未満の出火件数が1万8,647件と全体の78.9%を占めており、建物火災の多くは早い段階で消し止められている(第1-1-16表)。

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オ 建物火災はこんろの消し忘れ、たばこの不始末、放火によるものが多い

平成26年中の建物火災の主な出火原因は、こんろによるものが最も多く、次いでたばこ、放火、ストーブ、放火の疑いの順となっている。主な経過又は発火源をみると、こんろを出火原因とする火災では、消し忘れによるものが54.0%、たばこを出火原因とする火災では、不適当な場所への放置によるものが43.1%、放火を出火原因とする火災では、ライターによるものが38.9%と最多となっている(第1-1-17表)。

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カ 放水した建物火災の56.5%は覚知後10分以内に放水

平成26年中の建物火災における火元建物の放水開始時間別の焼損状況をみると、消防機関が火災を覚知し、消防隊が出動して放水を行った件数は1万1,934件(建物火災の50.5%)となっている。また、覚知から放水開始までの時間が10分以内のものは6,737件(放水した建物火災の56.5%)となっている。
放水した建物火災の1件当たりの建物焼損床面積を昼夜別にみると、夜間における焼損床面積が昼間の焼損床面積を13.3m2上回っている。これは、昼間に比べて覚知が遅れがちとなるため、消防機関が現地に到着したときは既に火災が拡大していること等の理由によるものと考えられる(第1-1-18表)。

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キ 建物火災の約3割は放水開始後30分以内に鎮火

平成26年中の消防隊が放水した建物火災について、鎮火所要時間別の件数をみると、放水開始後30分以内に鎮火した件数は3,820件と放水した建物火災の32.0%を占めている。また、このうち11分から20分までに鎮火したものが1,296件と最も多くなっている(第1-1-26図)。

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(2) 林野火災

平成26年中の林野火災の出火件数は1,494件で、前年に比べ526件(26.0%)減少している。焼損面積は1,062haで、前年に比べ91ha(9.4%)増加している。損害額は13億6,902万円で、前年に比べ11億3,640万円(488.5%)増加している。また、林野火災による死者数は17人で、前年に比べ3人(15.0%)減少している(第1-1-19表)。

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林野火災の出火件数を月別にみると、平成26年中は4月に最も多く発生しており、次いで5月、3月と、空気の乾燥している時期に多くなっている(第1-1-27図)。

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林野火災の出火件数を焼損面積の段階別にみると、焼損面積が10ha未満の林野火災の出火件数は1,480件で、全体の99.1%を占めている(第1-1-20表)。

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林野火災を出火原因別にみると、たき火によるものが443件で全体の29.7%を占め最も多く、次いで、火入れ*2、放火(放火の疑いを含む。)の順となっている(第1-1-21表)。

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*2 火入れ:土地の利用上、その土地の上にある立木竹、草その他の堆積物等を面的に焼却する行為

(3) 車両火災

平成26年中の車両火災の出火件数は4,467件で、前年に比べ119件(2.6%)減少し、死者数は110人(放火自殺者等77人を含む。)で、前年に比べ1人(1.0%)増加している。
また、車両火災による損害額(車両火災以外の火災種別に分類している車両被害は除く。)は23億4,202万円で、前年に比べ9億5,911万円(29.1%)減少している(第1-1-22表)。

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出火原因は、排気管が649件(全体の14.5%)と最も多くなっている(第1-1-23表)。

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(4) 船舶火災

平成26年中の船舶火災の出火件数は86件で、前年に比べ5件(5.5%)減少し、死者数は6人で、前年に比べ増減はない。
また、船舶火災による損害額(船舶火災以外の火災種別に分類している船舶被害は除く。)は2億3,971万円で、前年に比べ5,751万円減少している(第1-1-24表)。

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出火原因別では、排気管によるものが9件(全体の10.5%)と最も多く、次いで、電灯電話等の配線が8件(同9.3%)の順となっている。

(5) 航空機火災

平成26年中の航空機火災の出火件数は1件で、前年に比べ2件減少し、前年と同様、死者はない。
また、航空機火災による損害額(航空機火災以外の火災種別に分類している航空機被害は除く。)は0万円で、前年に比べ196万円減少している(第1-1-25表)。

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