平成27年版 消防白書

2.第3回国連防災世界会議への参画

平成27年3月14日(土)から18日(水)まで宮城県仙台市において第3回国連防災世界会議が開催され、高市総務大臣が「女性のリーダーシップ発揮」セッションの共同議長を務める他、消防庁においてもフォーラムを主催する等、世界会議に参画した。
国連防災世界会議は、国際的な防災戦略について議論する国連主催の会議であり、第1回会議は平成6年(1994年)に横浜市で、第2回会議は平成17年(2005年)に神戸市で開催された。第2回会議では、平成17年から平成27年までの国際的な防災の取組指針である「兵庫行動枠組」が策定された。
第3回国連防災世界会議は、「ポスト兵庫行動枠組」の策定等を行うため、平成24年12月の国連決議及び平成25年5月の閣議了解により、仙台市での開催が決定された。
3月14日(土)には、天皇皇后両陛下ご臨席のもと開会式が行われ、会議期間中、187ヵ国の代表、国際機関代表、認証NGO等6,500人以上が参加し、併せて開催されたフォーラムや展示会などの関連事業を含めると国内外から延べ15万人以上が参加し、我が国で開催された国連関係の国際会議として最大級の会議となった。

(1) 「女性のリーダーシップ発揮」セッション

3月14日(土)に開催された「ハイレベル・パートナーシップ・ダイアログ」の「女性のリーダーシップ発揮」セッションは、高市総務大臣がフィリピン共和国のレガルダ上院議会議員とともに共同議長を務め、開会の挨拶では、東日本大震災における我が国の女性消防団員、女性防火クラブの活動事例や震災後に地元女性が臨時災害FM局を立ち上げた事例を紹介しつつ、予防、応急、復旧・復興の災害対応の各段階における、女性のリーダーシップの重要性を訴えた。
本セッションでは、安倍内閣総理大臣が基調講演を行い、その後、ハロネン フィンランド前大統領、奥山仙台市長、ゲオルギエヴァ欧州委員(財務・人事担当)、カズンWFP(国連世界食糧計画)事務局長、オショティメインUNFPA(国連人口基金)事務局長、フェムリンクパシフィックのメレワラシ氏がパネリストとして出席し、災害時に女性が果たす役割や女性のリーダーシップ発揮促進の支援策等に関する議論が行われた。
共同議長は、各パネリストやセッション参加者からの意見等を踏まえ、防災分野で女性がリーダーシップを発揮するために必要な今後の取組に関する重要項目をセッションの成果として取りまとめ、最終日に全体会合に報告した。

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(2) 消防庁主催の関連事業

ア 消防庁主催総合フォーラム

消防庁は、第3回国連防災世界会議の関連事業の中核的イベントである日本政府、仙台開催実行委員会主催の「総合フォーラム」の一環として、平成27年3月14日(土)に東北大学百周年記念会館川内萩ホールにおいて、「地震、津波、土砂災害時等における消防団、地域住民の役割」をテーマにしたフォーラムを開催した。
本フォーラムには、国内外から900人以上の方が参加し、仙台市青葉消防団の岡村まき子氏による司会進行の下、東日本大震災や伊豆大島の土砂災害、長野県北部地震において、実際に活動した5組6人の消防団員や地域住民等の方々から、各災害時の状況や活動事例等について発表があり、会場等との意見交換が行われた(トピックス2-2表)。

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最後に、これらの活動事例発表を踏まえて、神戸大学の室﨑益輝名誉教授が、災害を語り継ぐ努力や減災防災における心・技・体(体制)の重要性等について述べ、総括を行った。

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イ 消防演習、消防車両及び消防科学技術の展示

消防庁では、我が国の優れた消防科学技術や東日本大震災を踏まえた対策等を紹介するために、仙台市役所と夢メッセみやぎにおいて、仙台市消防局、習志野市消防本部、東京消防庁及び新潟市消防局の協力のもと消防演習、消防車両及び消防科学技術の展示を行った。
仙台市役所会場では、仙台市消防局と東京消防庁による消防演習や消防車両の展示、消防研究センターによる水陸両用バギー、消防偵察ロボット、無人ヘリ、パネルの展示が行われ、3月14日(土)・15日(日)の2日間で国内外から約3,000人の方が来場した。
消防演習では、仙台市消防局救助隊が、ロープを使用した市役所屋上からの降下訓練や水平に張ったロープでの渡過訓練等を披露するとともに、東京消防庁第三消防方面本部消防救助機動部隊が、地震により化学工場で化学薬品が漏洩し、作業員が受傷したという想定で、陽圧式化学防護服を着装した隊員による要救助者の救出、除染車による除染等の活動訓練を行った。
夢メッセみやぎ会場では、3月15日(日)から17日(火)まで「防災産業展in仙台」が開催され、3日間で国内外から約5,800人の方が来場した。
このイベントの特別企画として、習志野市消防本部の「拠点機能形成車両」、新潟市消防局の「津波・大規模風水害対策車両」及び消防研究センターの水陸両用バギーの展示を行った。
「拠点機能形成車両」は、被災地での長期間にわたる消防活動を支援するための大型エアーテント等100人の宿営が可能な資機材が装備されている車両であり、また、「津波・大規模風水害対策車両」には、津波や大規模風水害により浸水した地域において人命救助活動を行う水陸両用バギーが積載されている。
また、会場では、津波の浸水によりがれきが堆積した地域での活動を想定した水陸両用バギーのデモンストレーション走行が行われた。

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