平成27年版 消防白書

トピックス4 台風第18号から続く大雨等への対応(平成27年9月関東・東北豪雨含む)

1.災害の概要

(1)気象の状況

平成27年9月7日午後9時に発生した台風第18号は、日本の南海上を北上し、同月9日午前9時半頃に愛知県西尾市付近に上陸した後、日本海に進み、同日午後3時に温帯低気圧に変わった。
台風第18号及び台風から変わった低気圧に向かって南から湿った空気が流れ込んだ影響で、西日本から北日本にかけての広範囲で大雨となり、特に関東地方と東北地方では記録的な大雨となった。
気象庁は、同月10日午前0時20分に栃木県に、同日午前7時45分に茨城県に、さらに、翌11日午前3時20分には宮城県に対して大雨特別警報を発表し、最大級の警戒を呼びかけた。
この記録的な豪雨について気象庁は、同月18日に「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名した。

(2) 河川の状況

この記録的な大雨により、鬼怒川の水位が上昇し、氾濫危険水位に達する見込みであるため、国土交通省及び気象庁は9月9日午後11時にはん濫警戒情報、翌10日午前0時15分には氾濫危険水位に到達し、氾濫の恐れがあるため、はん濫危険情報をそれぞれ発表した。その後、10日午前6時頃から越水等が発生していることが確認されたため、国土交通省及び気象庁は同日午前6時30分にはん濫発生情報を発表した。

(3) 被害の状況(平成27年11月30日第36報消防庁被害報)

この大雨の影響で、宮城県、茨城県及び栃木県では、死者8人(宮城県2人、茨城県3人、栃木県3人)をはじめ多数の住家被害が発生した。特に、茨城県では、鬼怒川の多数箇所で越水、漏水等が発生するとともに堤防が決壊し、茨城県常総市では、死者2人をはじめ多数の住家被害が発生するなど甚大な被害が発生した。また、その他の地域(福島県、埼玉県、千葉県、静岡県、三重県等)においても多数の住家被害が発生した。

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