5．火災種別ごとの状況

（1）建物火災

平成28年中の建物火災の出火件数は２万991件となっている（第1-1-1表）。

ア　住宅における火災が建物火災の54.1％で最多

建物火災の出火件数を火元建物の用途別にみると、住宅火災が最も多く、全体の54.1％を占めている（第1-1-17図、附属資料1-1-34）。

第1-1-17図　建物火災の火元建物用途別の状況

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（備考）
1 「火災報告」により作成
2 共同住宅、工場・作業場、事務所等、倉庫、飲食店及び物品販売店舗の区分は、消防法施行令別表第一による区分。なお、複合用途については、消防法施行令別表第一により区分される特定複合用途及び非特定複合用途の出火件数の合計数

建物火災では、こんろの消し忘れ、たばこの不始末、放火によるものが多くなっている（第1-1-7表）。

第1-1-7表　建物火災の主な出火原因と経過

(平成28年中)

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（備考）
1 「火災報告」により作成
2 （　）内は建物火災件数 20,991件に対する割合（％）
3 その他のたばことマッチ」は、出火原因が、たばこ、マッチ又はライターと判別できるが、そのいずれかに確定できない場合をいう。
4 「可燃物の接触・落下」については、「可燃物の接触」と「可燃物の落下」を足したものの合計
5 「火源が接触・落下」については、「火源が接触」と「火源が落下」を足したものの合計

また、月別の出火件数をみると、１月から５月まで及び12月に多くなっている（附属資料1-1-35）。また、建物火災のうち、放火を除く住宅火災の件数は、１万523件となっている（第1-1-9図）。

イ　建物火災の40.5％が木造建物で最多

火元建物の構造別にみると、木造建物が最も多く、建物火災の40.5％を占めている。火元建物以外の別棟に延焼した火災件数の割合（延焼率）を火元建物の構造別（その他・不明を除く。）にみると、木造が最も高くなっている。火元建物の構造別に火災１件当たりの焼損床面積をみると、木造は全建物火災の平均の約1.6倍となっている（附属資料1-1-36）。
また、出火件数を損害額及び焼損床面積の段階別にみると、損害額では１件の火災につき10万円未満の出火件数が全体の55.8％を占めている。焼損床面積50m²未満の出火件数は、全体の79.2％を占めており、建物火災の多くは早い段階で消し止められている（附属資料1-1-37）。

ウ　全建物火災の50.1％で放水を実施

火元建物の放水開始時間別の焼損状況をみると、消防機関が火災を覚知し、消防隊が出動して放水を行った件数は、全建物火災の50.1％となっている。（附属資料1-1-38）。
また、消防隊が放水した建物火災について、鎮火所要時間別の件数をみると、放水開始後30分以内に鎮火した件数は、放水した建物火災の29.9％を占めている。このうち11分から20分までに鎮火したものが最も多くなっている（附属資料1-1-38、附属資料1-1-39）。

（2）林野火災

平成28年中の林野火災の出火件数は1,027件で、前年に比べ79件（7.1％）減少、焼損面積は384haで、前年に比べ154ha（28.7％）減少、死者数は８人で、前年と比べ増減はない。損害額は１億5,718万円で、前年に比べ9,784万円（38.4％）減少している（第1-1-8表）。

第1-1-8表　林野火災の状況

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（備考）「火災報告」により作成

林野火災の出火件数を月別にみると、３月に最も多く発生しており、次いで４月、５月と、空気の乾燥している時期に多くなっている（第1-1-18図）。

第1-1-18図　林野火災の月別出火件数

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（備考）「火災報告」により作成

林野火災の出火件数を焼損面積の段階別にみると、焼損面積が10ha未満は1,019件で、全体の99.2％を占めている（第1-1-9表）。

第1-1-9表　林野火災の焼損面積段階別損害状況

(平成28年中)

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（備考）「火災報告」により作成
注）損害額は単位未満を四捨五入しているので、合計の数値とその内訳を合計した数値とは一致しない場合がある。

林野火災の出火件数を原因別にみると、たき火によるものが309件（全体の30.1％）と最も多く、次いで火入れ^＊2が170件（全体の16.6％）、放火（放火の疑いを含む）が94件（全体の9.2％）の順となっている（第1-1-10表）。

第1-1-10表　林野火災の主な出火原因と経過

(平成28年中)

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（備考）「火災報告」により作成

＊２火入れ：土地の利用上、その土地の上にある立木竹、草その他の堆積物等を面的に焼却する行為

（3）車両火災

平成28年中の車両火災の出火件数は4,053件で、前年に比べ135件（3.2％）減少、死者数は126人（放火自殺者等70人を含む。）で、前年に比べ16人（14.5％）増加、損害額（車両火災以外の火災種別に分類している車両被害は除く。）は19億9,786万円で、前年に比べ１億6,520万円（9.0％）増加している（第1-1-11表）。

第1-1-11表　車両火災の状況

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（備考）「火災報告」により作成

車両火災の出火件数を原因別にみると、排気管によるものが681件（全体の16.8％）と最も多く、次いで放火（放火の疑いを含む）が440件（全体の10.9％）、交通機関内配線が392件（全体の9.7％）の順となっている（第1-1-12表）。

第1-1-12表　車両火災の主な出火原因と経過

(平成28年中)

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（備考）「火災報告」により作成

（4）船舶火災

平成28年中の船舶火災の出火件数は72件で、前年に比べ25件（25.8％）減少、死者数は１人で、前年に比べ４人（80％）減少、損害額（船舶火災以外の火災種別に分類している船舶被害は除く。）は４億8,781万円で、前年に比べ9,008万円（15.6％）減少している（第1-1-13表）。

第1-1-13表　船舶火災の状況

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（備考）「火災報告」により作成

船舶火災の出火件数を原因別にみると、溶接機・切断機によるものが７件（全体の9.7％）と最も多く、次いで電灯電話等の配線、放火の疑いがそれぞれ６件（それぞれ全体の8.3％）の順となっている。

（5）航空機火災

平成28年中の航空機火災の出火件数は３件で、前年に比べ４件（57.1％）減少、死者数は０人で、前年に比べ５人（皆減）減少、損害額（航空機火災以外の火災種別に分類している航空機被害は除く。）は９億2,033万円で、前年に比べ４億2,414万円（85.5％）増加している（第1-1-14表）。

第1-1-14表　航空機火災の状況

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（備考）「火災報告」により作成

平成29年版 消防白書