平成30年版 消防白書

1.火災事故

危険物施設における平成29年中の火災事故の発生件数は、平成元年以降火災事故が最も少なかった平成5年(1993年)の107件と比較すると、危険物施設数が減少しているにもかかわらず、約1.8倍に増加している。主な発生要因については、維持管理不十分、操作確認不十分等の人的要因によるものが多く占めているが、腐食疲労等劣化等の物的要因によるものも増加の傾向にある。

(1)危険物施設における火災事故発生件数と被害

平成29年中の危険物施設における火災事故の発生件数は195件(対前年比20件減)、損害額は2,668百万円(同1,391百万円増)、死者は2人(前年同数)、負傷者は51人(対前年比2人減)となっている(第1-2-2図)。

第1-2-2図 危険物施設における火災事故発生件数と被害状況

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第1-2-2図 危険物施設における火災事故発生件数と被害状況の図

(備考)「危険物に係る事故報告」により作成

また、危険物施設別の火災事故の発生件数をみると、一般取扱所が最も多く、次いで製造所、給油取扱所の順となっており、これらの3施設区分の合計で全体の91.8%を占めている(第1-2-3図)。

第1-2-3図 危険物施設別火災事故発生件数

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第1-2-3図 危険物施設別火災事故発生件数の図

(備考)
1 「危険物に係る事故報告」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

一方、火災事故195件のうち89件(全体の45.6%)は、危険物が出火原因物質となっている(第1-2-4図)。

第1-2-4図 出火原因物質別火災事故発生件数

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第1-2-4図 出火原因物質別火災事故発生件数の図

(備考)
1 「危険物に係る事故報告」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

(2)危険物施設における火災事故の発生要因

平成29年中に発生した危険物施設における火災事故の発生要因をみると、人的要因が48.2%、物的要因が35.4%、その他の要因、不明及び調査中を合計したものが16.4%となっている(第1-2-5図)。

第1-2-5図 発生原因別火災事故発生件数

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第1-2-5図 発生原因別火災事故発生件数の図

(備考)
1 「危険物に係る事故報告」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

また、着火原因別にみると、高温表面熱が35件(対前年比5件増)と最も多く、次いで過熱着火が24件(同3件減)、静電気火花が22件(同6件減)となっている(第1-2-6図)。

第1-2-6図 着火原因別火災事故発生件数

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第1-2-6図 着火原因別火災事故発生件数の図

(備考)
1 「危険物に係る事故報告」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

(3)無許可施設における火災事故

危険物施設として許可を受けるべき施設であるにもかかわらず、許可を受けていないもの(以下「無許可施設」という。)における平成29年中の火災事故の発生件数は1件(対前年比7件減)であり、死者は0人(前年同数)、負傷者は0人(対前年比4人減)となっている。

(4)危険物運搬中の火災事故

平成29年中の危険物運搬中の火災事故の発生件数は1件(対前年比1件減)となっている。

(5)仮貯蔵・仮取扱い中の火災事故

平成29年中の仮貯蔵・仮取扱い中の火災事故は、平成28年に引き続き発生していない。

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