平成30年版 消防白書

2.避難勧告等の発令・伝達

風水害による人的被害を軽減するためには、危険な状況になる前に安全な場所への避難が行われることが重要である。市町村は、あらかじめ定めた避難勧告等の発令基準に基づき適時的確に避難勧告等を発令する必要がある。また、住民においては、避難勧告等の発令を迅速に把握し、又は避難が必要であることを自ら察知し、災害発生前に迅速に避難することが必要である。

(1)避難勧告等に関するガイドライン

市町村が適時的確に避難勧告等を発令できるよう、「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」が平成17年3月に策定された。同ガイドラインは、その後、東日本大震災や広島市の大規模な土砂災害等の教訓を踏まえ、平成26年4月及び平成27年8月に改定され、さらに平成29年1月には、全般的な見直しが行われるとともに、市町村の避難勧告等の判断・伝達だけでなく、受け取る側も含めた総合的なガイドラインとして、名称も「避難勧告等に関するガイドライン」と改定された。

(2)情報伝達体制の整備

市町村に対し、避難勧告等の防災情報の伝達について、防災行政無線(同報系)、緊急速報メールをはじめ、マスメディアとの連携や広報車、インターネット(ホームページ、SNS等)、コミュニティ放送、Lアラート*4等を活用した多様な伝達手段を整備・点検し、対象地域の住民等の安全確保のため、早い段階からの確実な防災情報の伝達を図るとともに、住民等が避難行動の判断に活用しやすいよう、住民等の立場に立った分かりやすい情報提供に努めることを要請している。

*4 Lアラート:災害発生時に、地方公共団体・ライフライン事業者等が、放送局・アプリ事業者等の多様なメディアを通じて地域住民等に対して必要な情報を迅速かつ効果的に伝達する共通基盤

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