平成30年版 消防白書

[風水害対策の課題]

1.風水害に係る防災体制の強化

平成29年7月九州北部豪雨を踏まえ、消防庁では、平成29年12月に地方公共団体に対し次のような取組について推進するよう要請した。

〔1〕 地域の防災力を高めるための取組
 (1)指定緊急避難場所の指定等による避難場所の確保及び住民への周知
 (2)避難行動要支援者の避難支援等
 (3)出水期前における住民参加型の避難訓練の実施
 (4)自助・共助の取組の促進
 (5)想定外の災害が起こりうることについての理解の促進

〔2〕 情報の収集についての取組
 (1)水位計・監視カメラ等の設置
 (2)避難勧告等の発令の引き金となる情報の整理
 (3)ホットラインによる直接的な助言の活用

〔3〕 避難勧告等の発令・伝達についての取組
 (1)洪水予報河川・水位周知河川以外の河川等に係る避難勧告等の発令基準の策定
 (2)避難勧告等の適時的確な発令
 (3)情報伝達手段の多重化等

〔4〕 防災体制についての取組
 (1)業務継続性の確保
  ・職員の参集基準や体制等
  ・非常用電源の確保及び稼働訓練の実施
 (2)避難勧告等の発令伝達等の訓練の実施
 (3)災害対策本部機能の強化等

〔5〕 山地部の中小河川における水害の危険性を踏まえた取組
 これらを踏まえ、市町村における災害対応力の向上を着実に進めることが重要である(なお、平成30年7月豪雨を受けての今後の課題等については「特集1 3.災害を踏まえた今後の対応」を参照)。

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