3.災害を踏まえた今後の対応
(1)政府における検証の動き
政府は、平成30年7月豪雨における応急対策について、対応に当たった職員の経験を収集・整理し、今後の災害対応に活かしていくため、内閣官房副長官を座長とする初動対応検証チームにおいて、避難所の状況把握及び物資調達・輸送、がれき処理・土砂撤去、給水支援・水道復旧、住まいの確保・自治体支援についての検証を行うこととした。
また、水害や土砂災害が広域かつ甚大に発生し、平成に入り最大の被害をもたらした平成30年7月豪雨を教訓とし、激甚化・頻発化する豪雨災害に対し、避難対策の強化を検討するため、平成30年9月、中央防災会議・防災対策実行会議の下に、「平成30年7月豪雨による水害・土砂災害からの避難に関するワーキンググループ」(以下「避難WG」という。)が設置された。10月16日には避難WGの第1回会議が開催され、主として、平成30年7月豪雨では、行政等から災害リスクや防災情報(防災気象情報や避難情報)などの多種多様な情報が事前に提供・発信されていたものの甚大な人的被害が発生したことから、住民が自ら判断し自発的に避難することを促すための対策の強化が必要である、との問題意識の下、<1>災害リスクと住民のとるべき避難行動の理解促進(防災教育、防災訓練)、<2>防災気象情報等の情報と地方自治体が発令する避難勧告等の避難情報の連携、<3>高齢者等の要配慮者の避難の実効性の確保、<4>防災情報の確実な伝達を主要な論点として、平成30年12月末までのとりまとめを目指して議論していくとの方針が示された。
(2)消防庁における今後の対応
消防庁においては、避難WGにおける今後の議論の状況も踏まえ、内閣府等の関係府省とも連携し、<1>より具体的に危険の状況を伝えるなど、住民の避難行動を促すための地方公共団体からの適切な情報発信のあり方、<2>防災行政無線の戸別受信機をはじめとする地方公共団体が情報を確実に住民に伝えるための情報伝達手段の整備、<3>住民による自発的な避難を促進するための地方公共団体における防災訓練の充実や自主防災組織の育成強化などについて検討し、取り組んでいくこととしている。