令和3年版 消防白書

1.出火状況

(1)1日当たり95件の火災が発生

令和2年中の出火件数3万4,691件を1日当たりでみると、95件/日の火災が発生したことになる(資料1-1-10)。
出火件数について、その構成比をみると、建物火災が全火災の55.8%で最も高い比率を占めている(資料1-1-11)。
また、出火件数を四季別にみると、春季(3月~5月)及び冬季(12月~2月)の出火件数が多くなっており、総出火件数の57.6%を占めている(資料1-1-12)。

(2)出火率は2.7件/万人

出火率(人口1万人当たりの出火件数)は、全国平均で2.7件/万人となっている(資料1-1-13)。
また、出火率を都道府県別にみると、最も高いのは鹿児島県で4.1件/万人となっている。一方、最も低いのは、富山県の1.6件/万人で、同県は平成3年(1991年)以降連続して最も出火率が低くなっている(資料1-1-14)。

(3)火災覚知方法は119番通報が最多

消防機関における火災覚知方法をみると、火災報知専用電話(119番)*1による通報が70.4%と最も多い(第1-1-2図)。

第1-1-2図 火災覚知方法別出火件数

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第1-1-2図 火災覚知方法別出火件数

(備考)
1 「火災報告」により作成
2 「その他」には事後聞知(消防機関が「このような火災があった」という通報を受けた場合をいう。)6,489件を含む。

(4)初期消火の方法は消火器の使用が最多

火災の発生時には、消火器を使用した初期消火が18.9%の割合で行われており、初期消火が行われたものの中(その他を除く。)で最も高い割合になっている。一方で初期消火が行われなかったものは35.9%となっている(資料1-1-15)。

*1 火災報知専用電話:通報者等が行う火災や救急等に関する緊急通報を、消防機関が受信するための専用電話をいう。なお、電気通信番号計画において、消防機関への緊急通報に関する電気通信番号は「119」と定められている。

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