令和3年版 消防白書

1.火災事故

危険物施設における令和2年中の火災事故の発生件数は187件となっており、平成元年以降火災事故が最も少なかった平成5年(1993年)の107件と比較すると、危険物施設が減少しているにもかかわらず、約1.7倍に増加している。主な発生要因については、操作確認不十分、維持管理不十分等の人的要因によるものが多くを占めている。

(1)危険物施設における火災事故発生件数と被害

令和2年中の危険物施設における火災事故の発生件数は187件(対前年比31件減)、損害額は10億9,035万円(同44億9,728万円減)、死者は2人(同1人増)、負傷者は33人(同4人減)となっている(第1-2-2図)。
また、危険物施設別の火災事故の発生件数をみると、一般取扱所が最も多く、次いで給油取扱所、製造所の順となっており、これらの3施設区分の合計で全体の95.7%を占めている(第1-2-3図)。
一方、火災事故187件のうち88件(全体の47.1%)は、危険物が出火原因物質となっている(第1-2-4図)。

第1-2-2図 危険物施設における火災事故発生件数と被害状況

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

第1-2-2図 危険物施設における火災事故発生件数と被害状況

(備考)「危険物に係る事故報告」により作成

第1-2-3図 危険物施設別火災事故発生件数

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

第1-2-3図 危険物施設別火災事故発生件数

(備考)
1 「危険物に係る事故報告」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

第1-2-4図 出火原因物質別火災事故発生件数

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

第1-2-4図 出火原因物質別火災事故発生件数

(備考)
1 「危険物に係る事故報告」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

(2)危険物施設における火災事故の発生要因

令和2年中に発生した危険物施設における火災事故の発生要因をみると、人的要因が56.7%、物的要因が27.8%、その他の要因、不明及び調査中を合計したものが15.5%となっている(第1-2-5図)。
また、着火原因別にみると、静電気火花が31件(対前年比9件減)と最も多く、次いで過熱着火が29件(同4件増)、高温表面熱が27件(同1件増)、裸火が17件(同2件増)となっている(第1-2-6図)。

第1-2-5図 発生要因別火災事故発生件数

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

第1-2-5図 発生要因別火災事故発生件数

(備考)
1 「危険物に係る事故報告」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

第1-2-6図 着火原因別火災事故発生件数

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

第1-2-6図 着火原因別火災事故発生件数

(備考)
1 「危険物に係る事故報告」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

(3)無許可施設における火災事故

危険物施設として許可を受けるべき施設であるにもかかわらず、許可を受けていないもの(以下「無許可施設」という。)における令和2年中の火災事故の発生件数は3件(対前年比1件減)であり、死者は0人(同3人減)、負傷者は2人(同1人減)となっている。

(4)危険物運搬中の火災事故

令和2年中の危険物運搬中の火災事故の発生件数は0件(前年同数)となっている。

(5)仮貯蔵・仮取扱い中の火災事故

令和2年中の仮貯蔵・仮取扱い*3中の火災事故の発生件数は0件(前年同数)となっている。

*3 仮貯蔵・仮扱い:危険物施設として許可を受けていない場所において、所轄消防長又は消防署長の承認を受け、10日以内の期間に限り、消防法で指定された数量以上の危険物を仮に貯蔵し、又は取り扱うことをいう。

関連リンク

はじめに
はじめに 昨年は、静岡県熱海市土石流災害や8月11日からの大雨などの自然災害に見舞われ、多くの人的・物的被害が生じました。 また、新型コロナウイルス感染症への対応として、救急隊員の感染防止対策の徹底や、ワクチン接種業務への救急救命士の活用など様々な対応が求められました。 気候変動...
1.令和3年7月静岡県熱海市土石流災害による被害及び消防機関等の対応状況
特集1 最近の大規模自然災害等への対応 1.令和3年7月静岡県熱海市土石流災害による被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 6月末から日本付近に停滞した梅雨前線の影響で、西日本から東北地方の広い範囲で大雨となり、各地で河川氾濫、浸水、土砂崩れ等が発生した。 静岡県熱海市では、降り始めから7月...
2.令和3年8月11日からの大雨による被害及び消防機関等の対応状況
2.令和3年8月11日からの大雨による被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 ア 気象の状況 8月11日から21日にかけて、日本付近に停滞した前線に暖かく湿った空気が断続的に流れ込んだ影響で前線の活動が活発となり、西日本から東日本の広い範囲にかけて大雨となった。 特に、8月12日から14日は...
3.栃木県足利市林野火災による被害及び消防機関等の対応状況
3.栃木県足利市林野火災による被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 ア 火災の概要 令和3年2月21日15時20分頃、栃木県足利市西宮町地内にある両崖山山頂付近の山林(通称「紫山」)から出火した。管轄の足利市消防本部は同日の15時36分に覚知し消火活動に当たったが、強風注意報が発表された2...