第5節 救急体制
1.救急業務の実施状況
(1)救急出動の状況
令和2年中の救急自動車による全国の救急出動件数は、593万3,277件(対前年比70万6,490件減、10.6%減)となっており、平成20年以来12年ぶりに対前年比で減少した。救急出動件数は1日平均とすると約1万6,211件(同約1,980件減)で、約5.3秒(前年約4.7秒)に1回の割合で救急隊が出動したことになる。
また、救急自動車による搬送人員も減少し、529万3,830人(対前年比68万4,178人減、11.4%減)となっている。これは国民の24人に1人(前年21人に1人)が救急隊によって搬送されたことになる。
救急自動車による搬送の原因となった事故種別にみると、急病が345万1,872人(65.2%)、一般負傷が86万6,529人(16.4%)、交通事故が34万2,250人(6.5%)などとなっている(資料2-5-1、資料2-5-2、資料2-5-3、資料2-5-4)。
なお、消防防災ヘリコプターによる救急出動件数は、2,417件(対前年比588件減)、搬送人員は1,897人(同353人減)となっている。
(2)傷病程度別搬送人員の状況
令和2年中の救急自動車による搬送人員529万3,830人のうち、約45%が入院加療を必要としない軽症(外来診療)傷病者及びその他(医師の診断がないもの等)となっている(資料2-5-5)。
(3)年齢区分別事故種別搬送人員の状況
令和2年中の救急自動車による搬送人員529万3,830人の内訳を年齢区分別にみると、新生児が1万2,180人(0.2%)、乳幼児17万7,317人(3.3%)、少年が15万469人(2.8%)、成人が165万5,061人(31.3%)、高齢者が329万8,803人(62.3%)となっており、高齢化の進展等により高齢者の占める割合が年々高まる傾向にある(対前年比2.3ポイント増)(資料2-5-6、資料2-5-7)。
また、急病では高齢者(222万4,073人、64.4%)、交通事故では成人(20万5,656人、60.1%)、一般負傷では高齢者(61万5,302人、71.0%)が最も高い割合で搬送されている(資料2-5-7)。
(4)現場到着所要時間の状況
令和2年中の救急自動車による出動件数593万3,277件の内訳を現場到着所要時間(119番通報を受けてから現場に到着するまでに要した時間)別にみると、5分以上10分未満が363万4,310件で最も多く、全体の61.3%となっている(第2-5-1図)。
また、現場到着所要時間の平均は約8.9分(前年約8.7分)となっており、10年前(平成22年)と比べ、0.8分延伸している(第2-5-3図)。
第2-5-1図 救急自動車による現場到着所要時間別出動件数の状況
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(備考)
1 「救急年報報告」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。
(5)病院収容所要時間の状況
令和2年中の救急自動車による搬送人員529万3,830人の内訳を病院収容所要時間(119番通報を受けてから医師に引き継ぐまでに要した時間)別にみると、30分以上60分未満が342万6,943人(64.7%)で最も多くなっている(第2-5-2図)。
また、病院収容所要時間の平均は約40.6分(前年約39.5分)となっており、10年前(平成22年)と比べ、3.2分延伸している(第2-5-3図)。
第2-5-2図 救急自動車による病院収容所要時間別搬送人員の状況
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(備考)
1 「救急年報報告」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。
第2-5-3図 救急自動車による現場到着所要時間及び病院収容所要時間の推移
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(備考)
1 「救急年報報告」により作成
2 東日本大震災の影響により、平成22年及び平成23年の釜石大槌地区行政事務組合消防本部及び陸前高田市消防本部のデータを除いた数値により集計している。
(6)救急隊員の行った応急処置等の状況
令和2年中の救急自動車による搬送人員529万3,830人のうち、救急隊員が応急処置等を行った傷病者は521万8,532人(98.6%)となっており、救急隊員が行った応急処置等の総件数は2,051万9,832件である(資料2-5-8)。
また、平成3年(1991年)以降に拡大された救急隊員が行った応急処置等(資料2-5-8における※の項目)の総件数は、1,471万2,934件(対前年比11.5%減)となっているが、このうち、救急救命士法に基づき、救急救命士が傷病者の蘇生等のために行う救急救命処置の件数は24万3,618件で、(対前年比1,943件増)に上り、対前年比で0.8%増となっている。