4.研究成果をより広く役立てるために
消防研究センターでは、研究開発によって得られた成果を、全国の消防職団員をはじめとする消防関係者はもとより、より広く利活用されるように次の活動を行っている。
(1)一般公開
毎年4月の「科学技術週間」にあわせて、消防研究センターを一般公開しており、この中で実験施設等の公開、展示や実演を通じ消防研究センターにおける研究開発等の紹介を行っている。令和2年度は新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ開催中止としたが、令和3年度は、初めての試みとしてホームページ上で動画を用いて研究内容を分かりやすく紹介するオンライン開催を行った。全部で23のコーナーを設けたところ、視聴のためのアクセス数は2,000を超えた。
(2)全国消防技術者会議
全国の消防の技術者が消防防災の科学技術に関する調査研究、技術開発等の成果を発表するとともに、他の発表者や聴講者と討論を行う場として、昭和28年(1953年)から「全国消防技術者会議」を毎年開催している。68回目となる令和2年度の会議は、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ、令和2年11月26日に初めてオンラインで開催したところ、これまで参加することが難しかった北海道、九州地域等から多数の参加があった。
会議では、特別講演、「令和2年度消防防災科学技術賞」の受賞作品の発表及び消防研究センター職員による発表を行った。
(3)消防防災研究講演会
消防研究センターの研究成果の発表及び消防関係者や消防防災分野の技術者や研究者との意見交換を行うため、平成9年度(1997年度)から「消防防災研究講演会」を毎年度開催しているが、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ開催を見送った。
(4)調査技術会議
消防研究センターでは、消防本部が行った火災及び危険物流出等事故に関する調査事例や、最新の調査技術を互いに発表する「調査技術会議」を開催している。この会議は、調査技術や調査結果の行政反映方策に関する情報を共有して、消防本部の火災調査及び危険物流出等事故調査に関する実務能力を全国的に向上させることを目的としており、会議で発表された調査事例は、年度末に取りまとめて消防本部に配布し、情報共有を図っている。令和2年度は、東京、名古屋、仙台、札幌、神戸、北九州の6都市で開催予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、仙台、札幌以外の会場での開催を中止した。実施2会場では、火災事例発表が計12件、危険物流出等事故事例発表が計2件行われた。中止となった4会場の発表要旨は、参加予定であった消防本部に配布した。
(5)消防防災科学技術賞
消防防災科学技術の高度化と消防防災活動の活性化に資することを目的として、消防職団員や一般の方による消防防災機器等の開発・改良及び消防防災科学に関する論文並びに消防職員による原因調査事例報告のうち、特に優れたものを消防庁長官が表彰する制度を平成9年度(1997年度)から実施している。
令和2年度は98編の応募があり、選考委員会による選考の結果、23編の受賞作品(優秀賞21編、奨励賞2編)が決定され、11月26日に表彰式を実施するとともに、同日の全国消防技術者会議の中で、受賞者による受賞作品の発表が行われた。
(6)施設見学
消防研究センターでは、消防職団員や市町村の防災担当者、小中高の児童・生徒や大学生、自治会・防火協議会の構成員等、多くの見学者に実験施設や研究成果等の見学を実施している。令和2年度は新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえて主に消防大学校入校者に限定して実施し、合計で12件446人の見学があった。