7.近年の自動車火災及びその対応状況
(1)近年の自動車火災
令和5年8月に神奈川県厚木市のパチンコ店の立体駐車場において自動車火災が発生し、153台の車両が焼損したほか、同年9月には山陽自動車道尼子山トンネル内で自動車火災が発生し、8人が負傷するとともに大型トラックを含む23台の車両が焼損した。
近年の自動車は、プラスチックなどの可燃性素材が多く使用されていることに加え、大型化により可燃物量も増加していること等から、火災の進展速度、着火容易性、隣接車両への延焼の危険性が高まっていると考えられ、初期消火ができず複数台に延焼すると消火困難となるおそれがある。
(2)消防庁の対応
消防庁としては、厚木市の駐車場火災を受けて、厚木市消防本部の火災原因調査の技術支援を行うとともに、「消防用設備等の設置・維持のあり方に関する検討部会」において対策の検討を行った。当該検討部会での検討結果を踏まえ、駐車場火災を想定した自衛消防訓練の実施を駐車場関係の事業者団体を通じて促すとともに、消防本部による訓練指導の実施や出動計画の見直しなど消火活動上の留意事項等について周知している。
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移動式粉末消火設備を用いた初期消火の説明動画
また、山陽自動車道尼子山トンネル火災では、排煙機能を有する大型ブロアー装置等を搭載した特別高度工作車が、排煙を行うことにより消火活動の効率を上げるなど有効に活用された。大型ブロアーは、トンネルを始めとした閉鎖空間から火災による煙や有毒ガス、熱気等を排除する際にも用いられることから、消防庁では国有財産等の無償使用制度を活用し、当該機能等を備えた特別高度工作車の更新整備を進めている。
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特別高度工作車