平成21年版 消防白書

3 放火火災防止対策の推進

放火による火災は、平成9年(1997年)以降連続して出火原因の第1位となっており、放火の疑いによる火災を合わせると全火災の2割以上を占め(平成20年中の放火及び放火の疑いの火災件数は10,776件で全火災の20.6%)、深刻な社会問題となっている。

放火を防ぐためには、一人ひとりが防止対策を心掛けるだけでなく、地域全体が「放火されない環境づくり」に取り組むことが重要である。

特に、連続放火が発生している地域にあっては、地域の安心・安全に深刻な影響があるため、暗いところや死角になるところに可燃物を放置しないこと、夜間にごみを出さないこと、門灯の終夜点灯により街路を明るくすることなどの対策を地域全体で徹底するとともに、関係行政機関と地域住民が協力して、街灯の増設、炎感知器や侵入監視センサーと連動した照明の設置、放火監視機器の設置などを推進し、より一層の警戒体制を構築することが必要である。

消防庁では、平成16年6月に放火火災・連続放火火災の防止のため学識経験者や消防機関関係者等からなる検討会を開催し、その検討結果を「放火火災の防止に向けて~放火火災防止対策戦略プラン~」として取りまとめ、全国の消防本部に配付した。

また、戦略プランの中で放火火災防止対策に有効とされた放火監視機器について、「放火監視機器に係る技術上のガイドライン」を策定(平成17年4月)するとともに、検証試験(平成20年度までに延べ11都市)を行っているところである。

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