平成21年版 消防白書

4 出火原因

平成20年中の総出火件数5万2,394件のうち、失火による火災は3万4,353件(全体の65.6%)であり、火災の多くは火気の取扱いの不注意や不始末から発生している(第1-1-19図)。

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(1)「放火」による火災が12年連続して第1位

平成20年中の放火による出火件数は6,396件であり、全火災(5万2,394件)の12.2%を占め、12年連続して出火原因の第1位となっている。これに放火の疑いを加えると1万776件(全火災の20.6%、対前年△366件、△3.3%)となる(第1-1-11表、第1-1-20図、附属資料6)。

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放火による損害額は55億7,930万円で、これに放火の疑いを加えた損害額は105億3,810万円となる(第1-1-11表、第1-1-20図)。
次に、放火及び放火の疑いによる火災を発火源別にみると、ライターによるものが3,762件(全体の34.9%)と最も多くなっている(第1-1-11表)。
また、放火及び放火の疑いによる火災を時間帯別にみると、夜間から明け方(22時以降翌朝4時までの間)の6時間に特に多くなっており、この時間帯に3,511件(全体の32.6%)が発生している(第1-1-21図)。

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(2)「こんろ」による火災は減少

平成20年中のこんろによる火災は5,534件で、全火災(5万2,394件)の10.6%を占めている。こんろの種類別では、普及率の高いガスこんろによる火災が最も多く5,124件(92.6%)で、こんろによる火災の大半を占めている。こんろによる火災の主な経過別出火件数をみると、65.9%に当たる3,649件が消し忘れによるものである。
また、こんろが原因の火災による損害額は59億7,409万円となっている(第1-1-12表、第1-1-20図)。

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(3)「たばこ」による火災は減少

平成20年中のたばこによる火災は5,063件で、全火災(5万2,394件)の9.7%を占めている(第1-1-13表、第1-1-20図)。

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たばこによる火災の主な経過別出火状況をみると、投げ捨てによるものが2,826件(55.8%)であり、半数以上を占めている。たばこが原因の火災による損害額は、76億5,885万円となっている(第1-1-13表、第1-1-20図)。

(4)着火物は前年と同様「枯草」が第1位

平成20年中の全火災の着火物別出火件数は枯草が6,736件と全体の12.9%を占め、最も多くなっている(第1-1-14表)。

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