平成21年版 消防白書

1 火災

危険物施設における平成20年の火災の発生件数は前年より増加しており、近年、総事故件数の最も少なかった平成6年の1.6倍の件数である。火災の主な要因として、危険物施設における維持管理不十分・操作確認不十分等の人的要因を挙げることができる。

(1)危険物施設における火災発生件数と被害

平成20年中の危険物施設における火災の発生件数は176件(対前年比7件増)、損害額は56.6億円(対前年比14.5億円増)、死者は1人(対前年比10人減)、負傷者は58人(対前年比24人減)となっている(第1-2-2図)。

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また、危険物施設別の火災発生状況をみると、一般取扱所、給油取扱所及び製造所での火災が全体の94.3%を占めている(第1-2-3図)。

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さらに、これらの火災のうち109件(全体の61.9%)は、危険物が出火原因物質となっている(第1-2-4図)。

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(2)火災の発生原因の半数以上は人的要因

平成20年中に発生した危険物施設における火災の発生原因については、人的要因が59.6%、物的要因が25.6%、その他の要因(不明、調査中を含む。)が14.8%となっている(第1-2-5図)。

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また、着火原因をみると、作業中等による静電気火花が最も多く、次いで高温表面熱(高温の機器等の表面に危険物が接触すること。)、過熱着火(危険物に必要以上の熱を加えることにより、着火すること。)の順となっている(第1-2-6図)。

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(3)無許可施設の火災

危険物施設として許可を受けていない無許可施設での平成20年中の火災の発生件数は3件(対前年比8件減)であり、死者は1人、負傷者は1人となっている。

(4)危険物運搬中の火災

平成20年中の危険物運搬中の火災の発生件数は5件で、死者はなく、負傷者は3人となっている。

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