2 流出
危険物施設における平成20年の危険物の流出事故の発生件数は前年より減少したが、近年、総事故件数の最も少なかった平成6年(1994年)の2.2倍の件数で依然として高い水準にある。流出の主な要因として、危険物施設の腐食等劣化、操作確認不十分、監視不十分等を挙げることができる。
(1)危険物施設における流出件数と被害
平成20年中の危険物施設における危険物流出事故発生件数(火災に至らなかったもの)は384件(対前年比50件減)、損害額は6.2億円(対前年比1.9億円増)、死者は1人(対前年比1人増)、負傷者は16人(対前年比12人減)となっている(第1-2-7図)。

また、危険物施設別の流出事故発生状況をみると、一般取扱所、給油取扱所及び地下タンク貯蔵所での流出が全体の62.2%を占めている (第1-2-8図)。

さらに、危険物施設における流出事故のうち、99.5%が石油製品を中心とする第4類の危険物の流出となっている。これを品名別にみると、第2石油類(軽油等)、第3石油類(重油等)、第1石油類(ガソリン等)、第4石油類(ギヤー油等)の順となっている(第1-2-9図)。

(2)流出事故の約4割は腐食等劣化が原因
平成20年中に発生した危険物施設における流出事故の発生原因をみると、物的要因が54.7%、人的要因が36.5%、その他の要因(不明、調査中を含む。)が8.8%となっている(第1-2-10図)。

流出事故の発生原因を個別にみると、腐食等劣化によるものが40.6%と最も多く、次いで操作確認不十分によるものが12.5%、監視不十分によるものが8.3%となっている(第1-2-10図)。
(3)無許可施設の流出事故
危険物施設として許可を受けていない無許可施設での平成20年中の流出事故の発生件数は3件(対前年比2件減)、死者はなく、負傷者は1人となっている。
(4)危険物運搬中の流出事故
平成20年中の危険物運搬中の流出事故の発生件数は17件(対前年比7件増)であり、死者、負傷者は発生していない。