[原子力災害対策等の課題]
平成19年7月の東電変圧器火災を踏まえて、国、地方公共団体、原子力事業者等において、原子力発電所等の防火安全対策の充実強化が図られているところである。今後は、原子力施設等での災害発生時における現場指揮本部の情報収集・伝達体制等の充実強化を図り、消防機関と原子力事業者の連携による消防体制の強化を図るとともに、消防機関における教育訓練について充実を図っていく必要がある。
「原子力施設における現場指揮本部の設置・運営等に関する検討会」における現場指揮本部マニュアル検討検証訓練の実施
消防庁では、平成19年7月に発生した新潟県中越沖地震による東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所所内変圧器火災を踏まえ、原子力施設における消防体制の強化を図るため、「原子力施設における現場指揮本部の設置・運営等に関する検討会」を発足し、公設消防及び原子力事業所等向けの原子力施設等における実践的な現場指揮本部マニュアルの作成を行っているところです。
平成21年9月、現場指揮本部マニュアル(案)の妥当性及び有効性を検証するため、消防本部及び原子力事業者等が参加する消防訓練を実施しました。
〈中国電力(株) 島根原子力発電所(島根県松江市)における検証訓練の実施〉 (1)実施日時
- 図上訓練 平成21年9月29日(火) 10:30~12:00
- 実動訓練 平成21年9月29日(火) 13:30~15:00
(2)実施機関等 中国電力(株)島根原子力発電所、松江市、松江市消防本部、島根県、経済産業省原子力安全・保安院島根原子力保安検査官事務所、総務省消防庁、(財)原子力安全技術センター(約150名参加) (3)対象施設 島根2号機廃棄物処理建物1階 雑固体廃棄物置場(以下「ベイラー室」という。)【放射線管理区域内】 (4)訓練実施項目 ベイラー室内にて火災が発生し、ベイラー室内の低レベル放射性廃棄物(可燃物)の燃焼により周囲に延焼のおそれがあるとの想定で、以下の訓練項目を実施 〔1〕初期情報収集活動訓練 〔2〕モニタリング訓練 〔3〕消防警戒区域、放射線危険区域、準危険区域設定訓練 〔4〕現場指揮所(前進指揮所を含む)、現地調整所設置運営訓練 〔5〕進入隊の編成、資機材の確保訓練 〔6〕負傷者搬出(救出)訓練 〔7〕消火活動訓練 〔8〕汚染検査、被ばく管理訓練

なお、10月29日に中部電力(株)浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)においても、牧之原市御前崎市広域施設組合消防本部等の協力を得て、同様の検証訓練を実施しています。 これらの検証訓練の結果を踏まえ、平成21年中に現場指揮本部マニュアルを作成することとしています。