平成21年版 消防白書

第5節 救助体制

1 救助活動の実施状況

(1)救助活動件数及び救助人員の状況

消防機関の行う人命の救助とは、火災・交通事故・水難事故・自然災害や機械による事故・建物等による事故等から、人力や機械力等を用いてその危険状態を排除し、被災者等を安全な場所に搬送する活動をいう。
平成20年中における全国の救助活動実施状況は、救助活動件数5万3,295件(対前年比1,112件増、2.1%増)、救助人員5万4,231人(同1,808人減、3.2%減)である(第2-5-1表、附属資料36)。

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このうち特に建物等による事故の救助活動件数(対前年比8.4%増)及び救助人員(対前年比6.5%増)が増加する一方で、複数の救助人員が発生する交通事故の救助活動件数(対前年比9.2%減)及び救助人員(対前年比12.3%減)が減少した。また、平成20年中は硫化水素による救急事案が続発したことにより、ガス及び酸欠事故の救助活動件数が776件(前年100件)、救助人員が811人(前年96人)と増加した。

(2)事故種別救助活動の状況

救助出動人員(救助活動を行うために出動したすべての消防職団員をいう。)は、延べ131万4,968人である。消防職員は、延べ117万5,371人で、うち交通事故が29.3%、建物等による事故が20.8%であり、消防団員は、延べ13万9,597人で、うち火災が76.6%である。
次に、救助活動人員(救助出動人員のうち実際に救助活動を行った消防職団員をいう。)は、延べ56万636人であり、救助活動1件当たり10.5人が従事したこととなる。また、事故種別ごとの救助活動1件当たりの従事人員は自然災害の28.0人が最も多く、次に火災の17.0人となっている(第2-5-2表)。

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