1.雑居ビル等における防火・防災管理体制の強化
現行制度では、高層建築物や比較的規模の大きい建築物等で管理権原者が複数となるものについては、共同で防火管理を行うこととしており、各々の管理権原が存する部分ごとに防火管理者を選任して防火管理を実施する一方、建築物全体の防火管理として共同で実施すべき事項について管理権原者間で協議して定めることを義務付けており、これらの事項を定めた場合には、消防機関に届出を行わなければならないこととしている。
また、共同防火管理を実施している建築物等においては、消防法施行規則に基づき、管理権原者間で協議すべき事項の一つとして「統括防火管理者」を定めることとしている。
しかしながら、現行制度では、統括防火管理者の役割や権限が法令上において明確でないことなどから、建築物全体での防火管理を一体的・自律的に行う体制が構築できない等の課題が指摘されていた。
こうしたことから、改正消防法においては、管理権原者に「統括防火管理者」の選任を義務付け、さらには、統括防火管理者に、建築物全体の防火管理に係る消防計画の作成、当該消防計画に基づく建築物全体の避難訓練等の実施等の建築物全体の防火管理上必要な業務を行わせるとともに、建築物全体の防火管理を実効性のあるものとするために、統括防火管理者が各防火管理者に対して必要な措置を講ずることを指示することができることとした。
なお、統括防災管理者についても統括防火管理者と同様に、その役割を明確化し、各防災管理者に対する指示権を付与した
(30ページ参照)。