平成30年版 消防白書

第6節 震災対策

[地震災害の現況と最近の動向]

1.平成29年中の主な地震災害

平成29年中に震度5弱以上が観測された地震は、8回(前年33回)であった(第1-6-1表)。

第1-6-1表 最大震度別地震発生状況の推移(震度5弱以上)

【出典】「気象庁資料」

第1-6-1表 最大震度別地震発生状況の推移(震度5弱以上)

※平成30年は1月1日から10月31日までの数値

なお、平成29年中の主な地震災害については、第1-6-2表のとおりである。

第1-6-2表 平成29年中の主な地震災害(消防庁が災害応急体制を整備したもの)

(平成30年11月6日現在)

第1-6-2表 平成29年中の主な地震災害(消防庁が災害応急体制を整備したもの)

(備考)「消防庁とりまとめ報」により作成

(1)福島県沖を震源とする地震による被害等の状況

2月28日16時49分に福島県沖を震源とするマグニチュード5.7の地震が発生し、宮城県岩沼市、福島県相馬市、南相馬市、楢葉町及び双葉町において、最大震度5弱が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、震度5弱を観測した宮城県及び福島県に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、同じく震度5弱を観測した消防本部及び市町村に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震による人的被害及び住家被害はなかった。

(2)豊後水道を震源とする地震による被害等の状況

6月20日23時27分に豊後水道を震源とするマグニチュード5.0の地震が発生し、大分県佐伯市において、最大震度5強が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに国民保護・防災部長を長とする消防庁災害対策本部を設置(第2次応急体制)し、震度5強を観測した大分県に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、同じく震度5強を観測した消防本部及び市町村に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震による人的被害及び住家被害はなかった。

(3)長野県南部を震源とする地震による被害等の状況

6月25日7時02分に長野県南部を震源とするマグニチュード5.6の地震が発生し、長野県王滝村及び木曽町において、最大震度5強が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに国民保護・防災部長を長とする消防庁災害対策本部を設置(第2次応急体制)し、震度5強を観測した長野県に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、同じく震度5強を観測した消防本部及び市町村に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震により、軽傷者2人の人的被害のほか、全壊1棟及び一部破損30棟の住家被害が発生した。

(4)北海道胆振(いぶり)地方中東部を震源とする地震による被害等の状況

7月1日23時45分に北海道胆振(いぶり)地方中東部を震源とするマグニチュード5.1の地震が発生し、北海道安平町において、最大震度5弱が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、震度5弱を観測した北海道に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、同じく震度5弱を観測した消防本部及び市町村に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震による住家被害はなかったものの、重傷者1人の人的被害が発生した。

(5)熊本県阿蘇地方を震源とする地震による被害等の状況

7月2日0時58分に熊本県阿蘇地方を震源とするマグニチュード4.5の地震が発生し、熊本県産山村において、最大震度5弱が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、震度5弱を観測した熊本県に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、同じく震度5弱を観測した消防本部及び市町村に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震による人的被害及び住家被害はなかった。

(6)鹿児島湾を震源とする地震による被害等の状況

7月11日11時56分に鹿児島湾を震源とするマグニチュード5.3の地震が発生し、鹿児島県鹿児島市において、最大震度5強が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに国民保護・防災部長を長とする消防庁災害対策本部を設置(第2次応急体制)し、震度5強を観測した鹿児島県に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、震度5弱以上を観測した消防本部及び市町村に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震により、軽傷者1人の人的被害のほか、一部破損3棟の住家被害が発生した。

(7)秋田県内陸南部を震源とする地震による被害等の状況

9月8日22時23分に秋田県内陸南部を震源とするマグニチュード5.2の地震が発生し、秋田県大仙市において、最大震度5強が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに国民保護・防災部長を長とする消防庁災害対策本部を設置(第2次応急体制)し、震度5強を観測した秋田県に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、同じく震度5強を観測した消防本部及び市町村に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震による人的被害はなかったものの、一部破損4棟の住家被害が発生した。

(8)福島県沖を震源とする地震による被害等の状況

10月6日23時56分に福島県沖を震源とするマグニチュード5.9の地震が発生し、福島県楢葉町及び川内村において、最大震度5弱が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、震度5弱を観測した福島県に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、同じく震度5弱を観測した消防本部及び市町村に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震による人的被害及び住家被害はなかった。

関連リンク

平成30年版 消防白書(PDF版)
平成30年版 消防白書(PDF版) 平成30年版 消防白書 (一式)  平成30年版 消防白書 (概要版)  はじめに  特集1 平成30年7月豪雨の被害と対応  特集2 最近の地震の被害と対応  特集3 消防防災ヘリコプターの安全運航体制の強化&n...
はじめに
はじめに この1年は、西日本を中心に多くの河川の氾濫や土砂崩れ等を引き起こした平成30年7月豪雨、震度6弱を観測した大阪府北部を震源とする地震、平成28年4月の熊本地震以来の震度7を観測した平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震など、風水害や地震等の自然災害が各地において発生し、多くの人的・物的被害...
特集
特集 人口減少や高齢化に代表される社会の構造の変化、風水害の多発化・激甚化や災害の多様化等、消防を取り巻く状況は常に変化しています。これらに適切に対応していくとともに、今後発生が予測されている南海トラフ地震や首都直下地震をはじめとする地震災害等に備える必要があります。 平成30年においては、大阪府北...
1.災害の概要
特集1 平成30年7月豪雨の被害と対応 1.災害の概要 (1)気象の状況 平成30年6月28日以降、北日本に停滞していた前線は、7月4日にかけ北海道付近に北上した後、5日には西日本まで南下してその後停滞した。 また、6月29日に発生した台風第7号は、東シナ海を北上し、対馬海峡付近で進路を北東に変えた...