平成30年版 消防白書

[平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震]

1.災害の概要

(1)地震の概要

平成30年9月6日3時07分、北海道胆振(いぶり)地方中東部(深さ約37km)を震源として、マグニチュード6.7の地震が発生し、厚真町で最大震度7、安平町及びむかわ町で震度6強、札幌市東区、千歳市、日高町及び平取町で震度6弱を観測した(特集2-3表)ほか、北海道から関東地方にかけて震度5強~1を観測した(特集2-2図)。

特集2-3表 平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震(マグニチュード6.7)による市区町村別震度一覧

特集2-3表

特集2-2図 平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震震度分布図

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

特集2-2図

(備考) 気象庁提供

気象庁は、この地震に対して、最初の地震波の検知から7.3秒後の3時08分12.6秒に緊急地震速報(警報)を発表した。
この地震発生以降、地震活動が活発になり、10月31日までに震度1以上を観測する地震が計312回発生した。
気象庁は、9月6日3時07分の胆振(いぶり)地方中東部の地震について、その名称を「平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震」と定めた。

(2)被害の状況

この地震により、強い揺れを観測した地域においては、住宅の倒壊や道路の損壊が多数発生したほか、200箇所を超える土砂災害が発生し、その崩壊面積は、明治以降、我が国において発生した主要な地震災害の中で最も多い13.4km2に達した。
特に厚真町においては、大規模な土砂崩れが広範囲で発生し、同町吉野地区では山裾の住宅が土砂に巻き込まれるなど、多数の人的被害が発生したほか、札幌市清田区では、液状化現象により住宅や道路に大きな被害が発生した。
さらに、地震の影響により、道内主力発電所の運転が停止したことに伴い、電力需給バランスが大きく崩れ、道内全域の発電所が停止し、道内全域で長時間にわたる停電が発生したほか、多くの市町村で断水が発生するなど、ライフラインにも大きな被害が発生した。
なお、今回の地震による各地の被害状況は、特集2-4表のとおりである。

特集2-4表 被害状況(人的・建物被害)
(平成30年11月6日現在)


特集2-4表

(備考)「消防庁とりまとめ報」により作成

厚真町 土砂災害の被害状況<1>
厚真町 土砂災害の被害状況<1>
(川崎市消防局提供)
厚真町 土砂災害の被害状況<2>
厚真町 土砂災害の被害状況<2>
(仙台市消防局提供)
札幌市 液状化現象の被害状況<1>
札幌市 液状化現象の被害状況<1>
(札幌市消防局提供)
札幌市 液状化現象の被害状況<2>
札幌市 液状化現象の被害状況<2>
(札幌市消防局提供)

関連リンク

平成30年版 消防白書(PDF版)
平成30年版 消防白書(PDF版) 平成30年版 消防白書 (一式)  平成30年版 消防白書 (概要版)  はじめに  特集1 平成30年7月豪雨の被害と対応  特集2 最近の地震の被害と対応  特集3 消防防災ヘリコプターの安全運航体制の強化&n...
はじめに
はじめに この1年は、西日本を中心に多くの河川の氾濫や土砂崩れ等を引き起こした平成30年7月豪雨、震度6弱を観測した大阪府北部を震源とする地震、平成28年4月の熊本地震以来の震度7を観測した平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震など、風水害や地震等の自然災害が各地において発生し、多くの人的・物的被害...
特集
特集 人口減少や高齢化に代表される社会の構造の変化、風水害の多発化・激甚化や災害の多様化等、消防を取り巻く状況は常に変化しています。これらに適切に対応していくとともに、今後発生が予測されている南海トラフ地震や首都直下地震をはじめとする地震災害等に備える必要があります。 平成30年においては、大阪府北...
1.災害の概要
特集1 平成30年7月豪雨の被害と対応 1.災害の概要 (1)気象の状況 平成30年6月28日以降、北日本に停滞していた前線は、7月4日にかけ北海道付近に北上した後、5日には西日本まで南下してその後停滞した。 また、6月29日に発生した台風第7号は、東シナ海を北上し、対馬海峡付近で進路を北東に変えた...