令和元年版 消防白書

4.出火原因

平成30年中の出火件数3万7,981件のうち、失火による火災は全体の73.2%であり、その多くは火気の取扱いの不注意や不始末から発生している(附属資料1-1-30)。
出火原因別にみると、たばこが3,414件と最も多く、次いでたき火が3,095件、こんろが2,852件となっている(第1-1-15図)。

第1-1-15図 主な出火原因別の出火件数

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第1-1-15図 主な出火原因別の出火件数の画像

(備考)「火災報告」により作成

また、全火災の着火物別出火件数は、枯草が全体の17.2%を占め、最も多くなっている(附属資料1-1-31)。

(1)「たばこ」による火災の半数以上は不適当な場所への放置によるもの

たばこによる火災は、3,414件で全火災の9.0%を占めている。主な経過別出火状況をみると、不適当な場所への放置によるものが2,142件と半数以上を占めている(第1-1-4表、第1-1-15図)。

第1-1-4表 たばこによる火災の損害状況

(各年中)

第1-1-4表 たばこによる火災の損害状況

(備考)「火災報告」により作成

(2)「放火」及び「放火の疑い」の合計は減少

放火による出火件数は、おおむね減少傾向が続いており、平成30年中の放火による出火件数は2,784件と前年に比べ減少しており、全火災の7.3%を占めている。これに放火の疑いを加えると4,761件で、前年に比べ減少し、全火災の12.5%となっている(第1-1-5表、第1-1-15図、第1-1-16図)。

第1-1-5表 放火及び放火の疑いによる火災の損害状況

(各年中)

第1-1-5表 放火及び放火の疑いによる火災の損害状況

(備考)
1 「火災報告」により作成
2 「その他」は出火原因が「その他のたばことマッチ」に分例される、たばこ、マッチ又はライターと判定できるが、そのいずれかに確定できない場合をいう。

第1-1-16図 放火及び放火の疑いによる火災件数の推移

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第1-1-16図 放火及び放火の疑いによる火災件数の推移の画像

(備考)「火災報告」により作成

次に、放火及び放火の疑いによる火災を発火源別にみると、ライターによるものが1,297件と最も多くなっている(第1-1-5表)。
また、放火及び放火の疑いによる火災1件当たりの損害額を時間帯別にみると、20時~22時の時間帯で損害額が多くなっている(附属資料1-1-32附属資料1-1-33)。

(3)「こんろ」による火災の大半は消し忘れによるもの

こんろによる火災は、2,852件で全火災の7.5%を占めている。こんろの種類別では、ガスこんろによる火災が2,470件と最も多い。
主な経過別出火件数をみると、消し忘れによるものが最も多い(第1-1-6表、第1-1-15図)。

第1-1-6表 こんろによる火災の損害状況

(各年中)

第1-1-6表 こんろによる火災の損害状況

(備考)「火災報告」により作成

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