6.テロ対策
(1)テロ災害に対応するための体制の整備
NBCテロ災害発生時に適切な応急対応処置を講じるため、政府のNBCテロ対策会議幹事会において取りまとめられている「NBCテロその他大量殺傷型テロ対処現地関係機関連携モデル」や「化学災害又は生物災害時における消防機関が行う活動マニュアル」等を踏まえて、消防分野においてもテロ災害に対する体制を整備している。
現場での対応力を強化するため、車両・資機材も整備を進めており、大型除染システム搭載車、化学剤検知器、生物剤検知器、放射線測定器、化学剤遠隔検知装置等の車両・資機材を全国の緊急消防援助隊NBC災害即応部隊54部隊を中心に配備しているが、老朽化を踏まえ、令和3年度から最新の知見に基づき計画的に配備を進める予定である。
(2)訓練・教育
各都道府県との国民保護共同訓練においてNBCテロ災害を想定した訓練を実施しており、消防機関、警察機関、自衛隊等の関係機関との連携強化を図るとともに、様々な想定の下での危機管理体制の整備に努めている。
2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会における消防機関の警戒体制の強化を目的とし、埼玉県、さいたま市消防局及び消防庁が連携し、化学剤による災害が発生したことを想定して、緊急消防援助隊NBC災害即応部隊の派遣や情報伝達等に関する訓練を実施した。
NBCテロに起因する災害に対応するには、専門的な知識、技術を現場で対応する各隊員や指揮する隊長が身につけることが必要である。このため消防大学校において、NBCテロ災害発生時における適切な消防活動の実施を目的として、緊急消防援助隊教育科にNBCコースを設置するとともに、都道府県の消防学校においても特殊災害科を設置し、危機管理教育訓練の充実強化を図っている。
また、消防本部の職員及び都道府県消防学校職員等を対象として、警察庁及び防衛省に依頼して、NBC災害活動に関する実技講習を行っている。




(3)テロ災害に対応するための救急資器材の導入に向けた教育の推進
テロ災害発生時においても、適切な救急活動が行われることが重要である。特に、爆発が原因の外傷による四肢の切断などで生じる大量出血には、速やかな止血処置が必要であるため、消防庁では救命止血帯(ターニケット)を用いた止血に関する教育カリキュラムと指導者用及び受講者用のテキストを平成30年3月に策定し、救急隊員のみならず、現場で警戒に当たる消防隊員等が、ためらうことなく適切な止血処置を行えるよう、指導救命士等による教育を推進している。