令和3年版 消防白書

特集2 新型コロナウイルス感染症対策

1.新型コロナウイルス感染症の感染者数の推移と政府等の対応

(1)新型コロナウイルス感染症の感染者数の推移

国内における新型コロナウイルス感染症患者の累計発生数は、令和2年1月15日に最初の感染者が確認された後、4月18日には1万人を超え、令和3年11月1日現在172万2,864人(厚生労働省調べ)となった。
新型コロナウイルス感染症の感染の新規報告数は、令和2年10月末以降増加傾向となり、令和3年1月9日の週には週間で4万2,819人の感染が報告された。その後、新規報告数は減少傾向となったが、令和3年3月中旬より再び増加傾向となり、5月8日の週には週間で4万5,092人の感染が報告された。その後、6月中旬まで減少傾向となるが、再度増加に転じ、8月21日の週には週間で16万309人の感染が報告された。その後新規報告数は減少傾向となり、10月16日の週には2,592人の感染が報告されている(特集2-1図)。
なお、本感染症による累計死亡者数は1万8,268人、重症者数は122人(令和3年11月1日現在、厚生労働省調べ)である。

特集2-1図 1週間ごとの新規感染者数(厚生労働省ホームページから引用)

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

特集2-1図 1週間ごとの新規感染者数(厚生労働省ホームページから引用)

(2)令和3年における政府等の対応

新型コロナウイルス感染症の感染の新規報告数は、令和2年10月末以降増加傾向となり、12月には首都圏を中心に過去最多の状況が継続し、医療提供体制がひっ迫している地域が見受けられた。こうした状況を踏まえ、令和3年1月7日、新型コロナウイルス感染症対策本部長(以下「政府対策本部長」という。)は新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号。以下、本特集において「特措法」という。)に基づき緊急事態宣言を行った。
政府は、新型コロナウイルス感染症にかかる対策を強化するため、新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置(以下「まん延防止等重点措置」という。)の創設などを含む新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案を国会に提出し、令和3年2月3日に成立した。
令和3年3月21日には、感染状況や医療提供体制・公衆衛生体制に対する負荷の状況を踏まえ、緊急事態措置を終了したが、同年4月1日には、感染の再拡大を防止する必要性が高いこと等から、政府対策本部長は、特措法に基づくまん延防止等重点措置の実施を公示した。大都市部を中心に新規報告数の増加が続き、重症者数の増加も見られた他、変異株(アルファ株)の感染拡大が見られた状況を踏まえ、同年4月23日には、政府対策本部長は、特措法に基づく緊急事態宣言を行った。6月20日には、新規陽性者数の減少及び医療提供体制等への負荷の軽減が見られる都道府県が緊急事態措置区域から除外され、緊急事態措置区域が沖縄県のみに変更されたが、その後、新規陽性者数が増加し、高い水準となったことから、7月12日に東京都が、8月2日に埼玉県、千葉県、神奈川県及び大阪府が緊急事態措置区域に追加された。さらに、8月中に、2度の緊急事態措置区域への追加(計15道府県)があったが、9月に入り2県が除外された後、9月28日に、感染状況や医療提供体制・公衆衛生体制に対する負荷の状況について分析・評価を行い、9月30日をもって緊急事態措置を終了した。
ワクチンに関しては、接種を円滑に実施するため、令和2年12月に、予防接種に係る実施体制の整備等を内容とする予防接種法の改正を行うとともに、内閣官房及び厚生労働省において、令和3年2月9日に接種の実施体制や接種順位を内容とする「新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種について」を取りまとめた。その後、厚生科学審議会等を経て、2月17日に医療従事者向けの先行接種が、4月12日から高齢者への接種が開始され、政府は、1日100万回以上の接種を実施すること及び7月末を念頭に希望する全ての高齢者に2回の接種を終わらせることを目標とした。総務省では、国と地方の十分な連携・協力のもと、速やかなワクチン接種に向けて、地方公共団体を支援するため、新型コロナワクチン接種地方支援本部を設置し、地方公共団体に対し、早期接種に向けた働きかけを行った。6月9日には1日100万回以上の接種目標を達成し、また、7月末を念頭に希望する全ての高齢者に2回の接種を終わらせるという目標は概ね達成された(7月31日時点の高齢者接種率約80%)。11月5日現在、国民の73.1%が2回の接種を完了している。

関連リンク

はじめに
はじめに 昨年は、静岡県熱海市土石流災害や8月11日からの大雨などの自然災害に見舞われ、多くの人的・物的被害が生じました。 また、新型コロナウイルス感染症への対応として、救急隊員の感染防止対策の徹底や、ワクチン接種業務への救急救命士の活用など様々な対応が求められました。 気候変動...
1.令和3年7月静岡県熱海市土石流災害による被害及び消防機関等の対応状況
特集1 最近の大規模自然災害等への対応 1.令和3年7月静岡県熱海市土石流災害による被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 6月末から日本付近に停滞した梅雨前線の影響で、西日本から東北地方の広い範囲で大雨となり、各地で河川氾濫、浸水、土砂崩れ等が発生した。 静岡県熱海市では、降り始めから7月...
2.令和3年8月11日からの大雨による被害及び消防機関等の対応状況
2.令和3年8月11日からの大雨による被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 ア 気象の状況 8月11日から21日にかけて、日本付近に停滞した前線に暖かく湿った空気が断続的に流れ込んだ影響で前線の活動が活発となり、西日本から東日本の広い範囲にかけて大雨となった。 特に、8月12日から14日は...
3.栃木県足利市林野火災による被害及び消防機関等の対応状況
3.栃木県足利市林野火災による被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 ア 火災の概要 令和3年2月21日15時20分頃、栃木県足利市西宮町地内にある両崖山山頂付近の山林(通称「紫山」)から出火した。管轄の足利市消防本部は同日の15時36分に覚知し消火活動に当たったが、強風注意報が発表された2...