東日本大震災に学ぶ
2.自然エネルギーの脅威

自然は大きなエネルギーを持っています。
私たちはその恩恵を受けて生活していますが、今回の震災において、そのエネルギーが大きな災害の原因ともなることを改めて思い知らされました。

地球の表面は、いくつかのプレートで覆われており、海底を形作る海のプレートが、陸地を形作る陸のプレートの下に沈みこんでいくときに蓄積されるひずみエネルギーが放出されるときに、巨大地震が起こります。
今回の東日本大震災では、過去数百年にわたって蓄積されたエネルギーが一気に解放されたと解析されています。

震源域は岩手県沖から茨城県沖にかけて長さ約450km、幅約150kmにも及び、広範囲で断層が連続的に破壊されました。東日本大震災の地震エネルギーの規模は、阪神・淡路大震災の約1,000倍に達すると言われています。

また、この巨大地震によって発生した津波のエネルギーも膨大なものとなりました。台風などで発生する大波も津波と同じ海水の振動によって伝わる波動現象ですが、波浪が「海上を吹く風によって発生した海水の表面部分の動き」であるのに対して、津波は「海底地盤の上下による海水全体の動き」であるため、その水の圧力は波浪とは比べることができないほど大きなものとなります。

多くの自治体では、過去の津波被害を教訓として防潮堤が築かれていましたが、それでも今回の津波を食い止めることはできませんでした。防潮堤の壁を越えた津波は、巨大な水の塊となって土や石をえぐる洗掘という現象を起こし、土台がえぐられて支えを失ったことと、水没による浮力が働いたこともあり、押し波や引き波によって簡単に倒されてしまったのです。

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