地震災害
3.地震の基礎用語

今度は、地震に関する基礎的な言葉について学習しましょう。

まず、「マグニチュード」です。
地震の大きさを表すのがマグニチュードです。これは、地震計の最大振幅などを用いて計算します。地震の大小は、断層運動によって放出されるエネルギーの大小によって決まります。したがって、エネルギーが大きくなれば、マグニチュードも大きくなります。マグニチュードが1増えれば、地震波のエネルギーは約30倍、2増えると約1000倍にもなります。


なお、マグニチュードを計算する方法には様々なものがありますが、気象庁では、気象庁マグニチュードとモーメントマグニチュードの2つの方式を用いています。気象庁マグニチュードは、地震波形の最大振幅の値を用いて計算する方法で、地震発生から3分程度以内で計算可能であるため、速報性に優れています。しかし、マグニチュード8を超える巨大地震の場合、頭打ちとなり、地震の規模を正確に表現できないという欠点があります。
一方、モーメントマグニチュードは、地震の断層運動の規模に基づく指標で、巨大地震についても規模を正確に表現できます。しかし、周期十数秒以上の非常に長い周期の地震波も含めた解析が必要であり、推定にある程度時間を要します。
そこで、津波警報においては、迅速性に優れる気象庁マグニチュードにより第1報を発表し、その後モーメントマグニチュードにより必要に応じて更新することを基本としています。

次に「震度」です。
震度は、地震による、ある場所での揺れの程度を表し、同じ地震でも地域によって異なります。我が国では気象庁震度階級に基づき、従来は0~7までの8階級に分けていましたが、1996年(平成8年)に改正し、震度5と6を"強"と"弱"に分けた10階級に分類しています。以前は震度を、体感や被害の状況を調べて判定していました。しかし現在では、震度計による観測値すなわち計測震度に基づく、機械的で、より速い判定を行っています。

では、「マグニチュード」と「震度」は、どのような関係にあるのでしょうか。
地下で断層運動が起こると地震波が発生し、それによって私たちの立っている大地が揺れます。
この地震の現象を原因と結果とに分けるとすれば、マグニチュードは原因の大きさを、震度は結果の大きさを表しているといえるでしょう。原因は一つでも、もたらされる結果は場所によって異なります。その関係は、電球の輝きの強さと、その周囲のいろいろな場所での明るさとの関係に似ています。同じ電球の光でも、電球の近くでは明るく、遠い場所では暗くなるように、マグニチュード7の地震でも、震源からの距離の違いによって、震度は6強であったり1であったりします。

次に、「震源」「震源域」「震央」です。
地震は断層運動により、地球内部の岩石が破壊されて発生します。この破壊が始まった点を震源といい、その真上の地表の地点を震央といいます。破壊は震源から始まり、断層に沿って面状に広がります。この破壊の広がった領域を震源域と呼びます。震源域からは、この後ご説明する地震波が発生して四方に伝わります。地震時の揺れは、この地震波によるものです。

「地震波」です。
地震によって生じる揺れには、さまざまな地震波が含まれています。その中でP波は、地震波の中でもっとも速度が大きく最初に地表に到達して、地面では主に上下の揺れを起こします。S波はP波の次に到達し、地面で横揺れを起こします。その後、表面波という地球の表層だけを伝わる地震波が到達し、地面を上下・横方向にゆっくりとした揺れを起こします。最初にガタガタと小さく揺れるのがP波で、その後大きくゆさゆさと揺れるのがS波、表面波はゆっくりとした波なので、通常、人間にはそれほど強い揺れには感じられません。

最後に「緊急地震速報」です。
緊急地震速報とは、地震の発生直後に、各地での強い揺れの到達時刻や震度を予想し、可能な限り素早く知らせる情報のことをいいます。
緊急地震速報が発表された場合、即座にわかるように、テレビやラジオ、携帯電話などでは、専用の音と共に緊急地震速報が知らされます。
緊急地震速報が知らされた後、地震の強い揺れが来るまでの数秒から数十秒という短い間に、まわりの人に声をかけながら、周囲の状況に応じて、あわてずに、まず身の安全を確保する行動をとる必要があります。
また、震源に近い場所では、緊急地震速報が間に合わないことがあるだけでなく、ごく短時間のデータだけを使った速報であることから、予測された震度に誤差を伴うなどの限界もあります。こうした限界を知った上で、緊急地震速報を適切に活用しましょう。
なお、2013年(平成25年)8月30日から、従来の警報のうち、危険度が非常に高いレベルのものを「特別警報」とする運用が開始されました。そして、地震については、震度6弱以上の緊急地震速報が特別警報に位置づけられます。

続きを読む