風水害(竜巻等突風)
1.はじめに

近年、竜巻の発生によって、建物やインフラが甚大な被害を受けるという災害が度々発生しています。

竜巻は、激しい空気の渦巻きで、大きな積乱雲の底から漏斗状または柱状の雲が垂れ下がったものと定義されています。陸上では巻き上がる砂塵、海上では水柱を伴います。移動スピードが速く、過去に発生した竜巻の中には、時速約90km(秒速25m)で移動したものがあります。

竜巻は、季節を問わず、台風、寒冷前線、低気圧などに伴って発生しますが、台風シーズンの9月に最も多く発生が確認されています。時間帯としては、夜間よりも日中に発生する場合が多く、地理的には関東平野や沿岸部での発生が多くなっています。最近5年間の年間平均では、約23個の竜巻の発生が確認されています。

平成24年5月6日、日本の上空約5,500mに氷点下21度以下の強い寒気が流れ込み、そのとき日本海に存在していた低気圧に向かって、東日本から東北地方の太平洋側にかけて暖かく湿った空気が流れ込みました。さらに、日射の影響で地上の温度が上昇したことから大気の状態が非常に不安定になり、落雷や突風、降ひょうを伴う積乱雲が発生して、複数の竜巻を発生させました。

これらの気象により、茨城県、栃木県及び福島県を中心に、全国で死者3名、負傷者58名の人的被害や、住家全壊89棟、半壊197棟、一部破損978棟という甚大な被害をもたらしました。また、大規模な停電や断水、通信障害も起こり、住民の生活に多大な影響を与えました。

このレッスンでは、竜巻等突風の性質や被害状況、教訓を見ながら、災害発生時の行動や事前対策について考えていきます。

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