風水害編(竜巻等突風)-警戒段階から発生時
1.はじめに

2012年(平成24年)5月に、茨城県、栃木県及び福島県において、また、2013年(平成25年)9月には、埼玉県及び千葉県において複数の竜巻が発生し、死傷者や多くの住家被害など、甚大な被害をもたらしました。

このときの経験を通し、地方公共団体の対応に関して、次のような課題が浮き彫りになりました。
・竜巻の発生が突然だったため、防災体制をとることが困難な面があった。

・竜巻注意情報を入手しても、的中率の低さや対象範囲が広域であること等により、具体的な行動がとりにくかった。

・予測精度の低い情報を頻繁に住民に流すことで、かえって情報の信頼性が失われると危惧したため、住民への情報伝達を行わなかった。

こうした教訓から、地方公共団体においては、竜巻等突風に関して、次のような対応が必要であることが再認識されました。

・住民が適切な対処行動をとれるようにするためには、市町村から住民へ適切な情報伝達を行うことが必要である。
・現在の竜巻注意情報は的中率が低く、実際に発生する竜巻の範囲に比べて広域な都道府県を範囲とした情報であるため、住民が具体的な対処行動をとりにくい。これを補うために、市町村が住民に情報提供する場合には、可能な範囲で、市町村単位の情報を付加することが望ましい。
・竜巻注意情報に加えて、竜巻発生確度ナウキャスト、及び気象の変化の確認等を活用した情報提供を行う。

なお、2014年(平成26年)9月から、竜巻発生に関する情報を含む竜巻注意情報の運用が開始されました。これは、気象台において竜巻の目撃情報を受けた場合に、情報のあった地域の周辺で更なる竜巻などの激しい突風が発生するおそれが非常に高まっていることから、目撃情報のあった地域を竜巻注意情報に付加して発表するものです。 現在の竜巻注意情報の伝達の流れは、次のようになっています。

まず、竜巻注意情報は、他の防災気象情報と同様に、気象庁から、各府省庁防災関係機関、都道府県、報道機関、民間気象事業者へ、発表と同時に伝達されます。

それとは別に、消防庁及び地方公共団体が連携して整備するJアラートを経由して、情報が、気象庁から都道府県、市町村へ伝達されます。また、気象庁から情報を受信した都道府県は、さらに市町村に伝達します。したがって、市町村へは、Jアラート及び都道府県からの2ルートにより、竜巻注意情報が伝達されることになります。
竜巻注意情報は、テレビ、ラジオの速報や、ニュース、天気予報で視聴者に伝わるほか、民間気象事業者が提供するメール配信サービス等で利用者に伝達され、気象庁のホームページにも掲載されます。

また、地方公共団体は、必要に応じて、防災行政無線や登録型防災メール等で住民に知らせます。

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