油流出事故対策(監修:独立行政法人 海上災害防止センター)
9.油吸回収素材による回収方法

 油吸着材は、その全量回収を前提に使用します。というのも、回収できないと二次汚染や小型船の航路障害物となるほか、回収装置の吸入口や付着部に油吸着材が詰まってしまうからです。
 このため潮流の早い場所やオイルフェンスなどで包囲されていない油に単体で使用することは避けてください。
 また飽和状態となると周りの油と同色となって見分けが着かなくなるので、大型のホッチキスなどでロープに万国旗のように油吸着材を連結して使用します。
 その他の油を回収する道具として、ひしゃく、たも、網などがあります。ひしゃくに水切り用の穴をあけることや、たも網の先に引き揚げ用のロープを付けることで作業がはかどります。

 水中ポンプと半切りドラム缶を利用した方法も有効です。20リットルの空缶に重りの石等を入れて海中に少し沈める方法もあります。強力吸引車およびコンクリート・ポンプ車、大容量タンク車の組合せも、重要な油防除資機材です。
 吸引車は掃除機のように強力な空気の流れに吸引物を乗せて、車両後方に設置されたレシーバー・タンクに回収するもので、液体、固体なんでも吸引できますが、搭載タンクの容積が小さく、吸引ホースの先端保持を人力で行なわなければなりません。
 そこでミキサー車から作業現場へコンクリートを圧送するコンクリート・ポンプ車(リモート・コントロール可能な10メートル以上のアームを装備)とタンク容積の大きいバキュームカーを組合わせる方法が考案されています。

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