原子力災害対策
3.防護対策「避難」

原子力災害が発生した場合、被ばくによる健康影響から住民などの一般公衆を防護するための対策を迅速に行う必要があります。それぞれの防護対策について、概要と留意点を紹介します。

防護対策として効果の高い対策には、まず「避難」が挙げられます。

避難とは、放射性プルームからの外部被ばくや吸入などによる内部被ばく、または、地表面に沈着した放射性物質からの放射線による外部被ばくを避けるため、住民など公衆に対して、影響を受ける地域から外に出てもらい、公共施設などに収容する対策をいいます。放射線の影響を減らす効果は大きく、確実なものがあります。


避難は、被ばくから逃れる有効な方法ですが、一方、避難には、肉体的・精神的影響が生じることから、一般の住民等はもとより、自力避難が困難な要支援者に対して、早い段階からの対処や必要な支援の手当てなどについて、配慮する必要があります。

避難範囲については、原子力規制委員会の原子力災害対策指針において、即時避難を実施する等、放射性物質の環境への放出前の段階から、予防的に防護措置を準備する区域(PAZ)として、原子力施設から概ね半径5kmを目安とすることとされています。また、放射性物質の拡散の状況等に応じて避難等を実施する等、緊急時の防護措置を準備する区域(UPZ)として、原子力施設から概ね半径30kmを目安とすることとされています。

これらの区域は、各地方公共団体の地域防災計画において、社会的周辺状況等を勘案して定められることになります。

続きを読む