国民保護
3.国民保護の必要性

 私たちが経験をしてきたテロ事案などを振り返ってみましょう。
 日本では1995年3月、人類史上最悪の化学兵器テロとも言える地下鉄サリン事件が起きました。また、1998年には、北朝鮮の弾道ミサイルが我が国の本土を越えて太平洋に落ちた事件や、2001年に我が国近海で海上保安庁の巡視艇が追跡中の不審船から攻撃を受けた事件などが起きています。
 海外における事例としては、2001年9月11日には米国で同時多発テロが発生しました。
 このテロについての調査委員会の報告書には、首謀者とされるアルカイーダのもう一つの選択肢は、ハイジャックした航空機を日本、シンガポール又は韓国の米国施設に突入させることだったという記述があります。

 また、2004年3月には、スペインで通勤時間帯を狙った列車爆破テロ、2005年7月には、ロンドンで交通機関を狙った同時多発テロ、2008年11月には、インドでホテルやターミナル駅を狙った同時多発テロなどが起きています。
 こうした事態が実際に起きていることを考えてみると、テロや武力による攻撃などに対して、国民の生命、身体や財産を守るための備えや仕組み作りが必要不可欠なことがよくわかります。
 1991年の湾岸戦争時、イスラエルでは、イラクから6週間で約40発ものミサイル攻撃を受けましたが、このミサイルの着弾による直接の被害で命を落とした方は2名でした。約40発というミサイルの数を考えれば、もっと多くの人命が失われていても不思議ではありませんでした。それがどうして2人で済んだのか、それはミサイルが来るという情報を捉えるとサイレンを鳴らして、国民に屋内や地下室に避難させるという連絡体制があったからです。サイレンにより、屋内に避難させることだけでも、多くの国民の命が守られました。
 これは1つの国民保護の例であり、私たちもこうした取り組みをしていく必要があるのです。

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