事業継続計画(BCP)コース
7.ICT部門における業務継続計画(BCP)策定のステップ

BCP策定の必要性は理解しても、実際に策定するには多大な手間と労力がかかり、多岐にわたる組織間で連携することも必要です。このような場合に参考となるのが、平成20年(2008年)8月に総務省が公表した「地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画(BCP)策定に関するガイドライン」です。

このガイドラインには、ICT部門として無理なく業務継続計画(BCP)の策定に着手し、最終的には、投資判断等を含む全庁的な対策まで進めるステップについて記載されています。言うまでもなく、地方公共団体が災害時において業務を継続するためには、情報システムが稼動していることが重要ですので、BCP策定の必要性が特に高い部署であるICT部門から進めていくという手法が有効というわけです。



ステップ1では、ICT部門主導で検討や実施が可能な範囲で課題を設定し、各種対策の実施計画や災害の行動計画を策定します。例えば、ICT部門が主管する既存の情報システムの概要調査や外部事業者との関係整理、庁舎・情報通信設備の災害危険度の調査と耐震化・免震化等の対策の実施、情報のバックアップ、災害時の初動行動計画の立案、訓練などがそれにあたります。


次に、ステップ2で、ICT部門のユーザーである業務部門にヒアリングを行い、ユーザーの意向を踏まえて簡略なBCPを策定します。

最後に、ステップ3で、多額な投資判断を要する事項を含めて、財務当局や首長まで巻き込んだ全庁的な検討体制を構築し、本格的な業務継続計画を策定します。

このように、行政全体での業務継続計画を策定する動きが遅れていても、ICT部門において先駆的にBCPについての全庁的な検討体制を構築しておくことで、ICT部門での取組にとどまらず、その後の全庁的な業務継続の取組へと発展拡充していくことになるのです。

続きを読む