輸送手段の確保
7.船舶による輸送

 一方、災害が海沿いの地域で発生し、幹線道路や鉄道が使えないようなこともあるでしょう。その場合は、船舶による輸送が有効となります。船舶は陸上の被害に影響されることが少なく、安定的で、しかもある程度大量の輸送が期待できます。
 船舶による輸送が非常に効果的だった事例としては、1993年(平成5年)に鹿児島市で発生した土砂災害があります。この災害では、土砂崩れと土石流によって道路や線路が寸断され、列車乗客や自動車の乗員、地区住民などが孤立するという事態が発生しました。これらの人々を救出したのは、海上保安部や県警、さらには地元の漁協に所属する漁船など、海上からの官民あげての船舶による輸送でした(消防科学総合センター,1994)。

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